第4話

な、何の音?!             何かボソボソと小さな声がする。そしてそれは一人ではない?!二人だ!!      かなり小さな声だが、耳に入って来る。男と女の話し声が。             男は中年で、40代位だろうか?女はもっと若い。20代だ。若い、高い声だ。     何を話しているのかは分からないが、ボソボソとずっと話し声は続く。        その不気味さに、最初はよく分からなかった。何?!どこから聞こえてくるのー?? 一体何なの?!             気持ちが悪いし、もしかしたら隣の部屋で話しているのかもしれないとも思ったが、それはずっと続いた。            いつまで続くんだろう?いい加減にしてほ しい。そう思っていても一向におさまらない。                  私はナイトスタンドの明かりを付けてから、思い切ってベッドから出た。周りを見廻す。だがもう音はしない。シーンとしている。 しばらくそうしていたが、又電気を消して寝た。                  すると一寸の間の後に、又ボソボソと同じ音がする。又、何を言っているか分からない話し声だ。                私は、又か?!、と思いながら聞き耳を立てた。何処から聞こえてくるのだろう??  すると、どうやらそれは窓の方からだ。  私は我慢ができなくなり、再び起き上がり、明かりを付けるとジーッと窓の方を見た。 だが又元の静けさだ。シーンとして、音一つしない。                そろそろと窓の方へ歩いて行った。カーテンを少し開いて窓の下を見た。下には、人が落ちても助かる様に網が張ってあった。確かそうだ!何かの仕切りがしてあり、そのままずっと下に落ちない様になっていた。    このホテル、誰か前に落ちたのかなぁ?だからこんな事がしてあるのかなぁ?嫌だなぁ、本当に気味悪い。            私は仕方なくベッドに戻り、又寝床についた。だが又暗くすると、さっきと同じボソボソ声が聞こえてくる。          私は思い切って声を出した。有り得ないとは思ったがこう言った。          「ねー、誰かいるのー?!」       そう言いながら電気を付けて周りを見廻す。そして又繰り返した。          「ねー、誰かいるのー?ねー?!」    返事は無い。              私はもう室内を暗くするのをを止めた。そのまま、電気を付けたままで寝る事にした。 そうすると、ボソボソ声はもうしなかった。私はホッとした。もう早く眠ろう。そうして明日一番で此処を出よう!!       私はそう決意しながら目をつむった。   そうして何とか眠れて、翌日、私は早くに目を覚ました。何時位だっただろう?7時位だっただろうか?             私は急いで部屋を出ようとした。朝だから まだ雰囲気はましだったかもしれないが、 やはり寒い部屋だし、不快で落ち着かなかった。                  そしてこの不気味な部屋を出る前に、壁に絵が掛かっているのに初めて気付いた。それは余り大きな額縁ではなく、割と小さな物だった。                  それは確か、花の絵だった気がする。私は何気なくその絵の前に立ち、それを見た。  そして普段はそんな事をしないのだが、その絵の、額縁の裏を見てみた。すると何か紙が張ってある。              あれ、これは何?取ってみて見ようかな?だけど変な事をして、後から何か言われたら嫌だな。チェックアウトをしている時に、直ぐに掃除とかで入られて。         それで何かその絵にしたからとフロントに言われて、お金でも取られたら馬鹿らしいなぁ。私はすぐにそうした無駄な、馬鹿らしい事を(若い頃には凄く)考えて心配をしてしまう癖があった。            そんな事はある訳もないのに、家での過剰な教育で、割と色々と、変に気を使う癖が付いていた。だから家族以外の周りには、心配し過ぎだとよく言われたりしていた。    だがその細長い紙の端を手で触ってみてから、しばらくはそれを見つめていた。   不思議だな、これは何だろう?普通、額縁の裏にこんな物を貼らないよね。そんな風に思いながら。

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