第3話
ドアを開けて中へ入った。 何だろう?今までホテルに泊まってきた時とは、ムードが違う。何か嫌な落ち着かない雰囲気だ。何故か、刺々しい冷たい雰囲気…。そして、何故か肌寒い。腕には鳥肌が立っていた…。 服は半袖を着ていた。だから季節は確か夏頃だ。恐らく6月位ではなかっただろうか? 何故だろう?!早くこの部屋から出たい!!此処にいたくない。何か恐いし、そこにいるという事への不安感があった。凄く、そんな気持ちになった。 だが他に部屋は無い。朝まで此処にいなければならない。 いつもならこうして泊まる時は、余程眠くなければ先ずは軽くシャワーを浴びてサッパリする。でなければ湯船に浸かり、汗を流してから上がる。 それから部屋にある浴衣の様な寝間着に着替える。そして部屋に備え付けられたティー パックの日本茶を飲んだりする。そしてその後は横になり、眠りにつく。 たまにそれでも直ぐに眠れない時は、ベッドに横になり、テレビを付けて深夜番組を見る。そしてお笑い番組を、ベッドに寝転びながらしばらく見ながら笑ったりする。それから眠る。 だがこの時はシャワーどころではなかった。身体は汗でベチャベチャしている。何せディスコで踊っていたのだから。 だが、服を脱ぐのが嫌だった。靴さえもだ。私は仕方なく靴は脱いだが、いつもとは違い、ドアの近くには置かずにベッドのすぐ横に置いた。いつでも何かあれば直ぐに履いて逃げられる様にだ。 そしてシャワーを浴びるのは断念した。服を脱いで裸になるだなんて到底できなかった。そんな無防備な姿で、もし何かあったらどうするんだ?!とっさに部屋から逃げ出さな きゃならなくなったら?! 鍵は内側からかかっている。誰かが入って 来るだなんてあり得ない!!だが、どうしてもそう思わざるをえなかった。 仕方なく、気を紛らわそうとしてお茶を入れながらテレビを付けた。ベッドに座ってお茶を飲みながら、深夜のお笑い番組を見る。 だが何も面白くない。普通ならこんな時は 必ずリラックスして、ゲラゲラ笑ったりしながら見る。だが、この日は番組に集中できない。 何故なら、そこには誰かがいる様な気がしてならないのだ。自分だけではない。そして、それはジッと自分を観察している様な感じがする。どうしてもそんな風に感じて仕方がない…。 あぁ、もう駄目だ!こんな物をいつまでも 見ていないで、もう寝よう!!そうすれば明日の朝には此処から出られるのだから。 私は仕方無く、電気を消すと服のままでベッドに入った。電気は完全に消さず、いつもの様に少し薄暗くした。 そうして目を閉じた。だが緊張していて中々寝られない。疲れている筈なのに、目が冴えている。 とにかく恐い。早く朝にならないかなぁ…。そうずっと思いながら寝ていて、しばらくすると異変が起きた。何かが聞こえる…。
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