一.一秒物語 5

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┃ ほうきとほうき星 ┃

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 なぜかほうきが空を飛んでいたので おかしいと思いほうき星ととりかえた

 ほうき星は星空のかなたへと飛んでいったが その前に魔女が乗っているのに気がついた ほうきが急にほうき星に変わってしまい 帰れなくなったようだ

 悪いことをしたなあ とも思ったが すぐに思い直した

 なあに 暗闇の晩に黒い服を着ている方が悪いんだ



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┃ 溶解事件 ┃

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 ある晩 ひとつの星が溶けだした すると 次々にそのまわりも溶けた どんどん広がって 月の光も溶けて そのあと昇ってきたお日様まで溶けてしまった

 溶けたものは もやになって あたりを包んだ 昼と夜が混ざってしまい 不便この上ない

 そこに豆腐屋さんが もやを集めて型に入れ ニガリを混ぜたら 大きな四角い岩ができたので それを彫刻して お日様とお月様と星を作って 空にまいてやった



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┃ 声が出ない星の話 ┃

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 星のにぎやかな夜 空へめがけて石を投げたら 星が落ちてきて お月様に当たった

「気をつけろ」

 お月様は云ったが 声を出せない星らしく何の返事もしない お月様はあやまりもしない星に怒ってけんかを始めた

 ぼくはそばで このけんかを一晩中見物していた



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┃ 星を洗った話 ┃

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 洗濯していると 手ざわりが変なので ポケットの中を調べてみると まっ白い星が目を回していた

 ぼくは 昨晩 道にきれいな赤い星が落ちていたので 拾ったことを思い出した



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┃ 月のたんこぶ ┃

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 ぽいと石を投げたら お月様に当たった

「あいたた こら どうしてくれる」

 お月様は 大きなたんこぶをこしらえていた ぼくはたんこぶをきれいに切り取った

「うむ 元に戻った これでよろしい」

 お月様は機嫌をなおした

 毎晩こんなことをしていたので 月のたんこぶがたまった

 ぼくはその月のかけらをあつめて月を一つ作り 庭に飾った

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