一.一秒物語 4

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┃ お月様が落ちた話 ┃

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 時計が七時を打つと 遠くの空に お月様がするすると昇った ぼくの手が届かないことをいいことに ぼくに向かってさんざん悪口を云い 舌を出した

 頭にきたので時計をたたき壊した お月様はストンと落ちて ドシン 大きな尻もちをついた



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┃ 空の交通 ┃

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 青い星が急に消えた すぐ隣の黄色い星がついて また消えた 今度は赤い星が輝いた

 キキキキイイ その星の前で流星が止まった



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┃ お月様論争 ┃

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 お月様の形について言い合っていた

「丸だ」

「三角だ」

「うるさい、丸だ」

「三角に決まっている」

「なにを」

「やるか」

「まあまあまあ」

 その時 お月様が円すい形に変わって 止めにきた



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┃ 暴投事件 ┃

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 ある夜 ぼくが歩いていると 上からボールが落ちてきて あたった

「だれだ」

 と 上に向かって 怒鳴った

「すみません すみません」

 声の方を見上げると ふたご座の二人が 野球帽を脱いで ぺこぺこしていた



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┃ お月様を殴った話 ┃

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 お月様のいたずらには困る 家の池の魚を 天の川にもっていったり あばれ者の流星を 家のまわりで乗りまわして 一晩中騒いだり

 腹が立ったので お月様を捕まえて 力いっぱいゴツンとやった お月様は大きなこぶを作って 泣きながら逃げていった

 ぼくは たんこぶでひょうたんみたいになって空に浮かんでるお月様を見て 笑ってやった

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