一.一秒物語 2

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┃ 星を落とす話 ┃

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「ねえ ごっそり星を取ってみないか」

 と 知らない男が話しかけてきた いつもやってみたいと思っていたので

「ええ やりましょうやりましょう」

 すると 男が星にかわって

「けしからん」

 ぽかりと殴られた 星は空に飛んでいった

 今のが星のポリスなのかな



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┃ 入りきらなくなった話 ┃

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 細長い鏡に 三日月がいっぱいに映っていた

 お月様は 日に日に太っていって だんだん鏡に入りきらなくなってきた

 バリン 満月の晩 とうとうお月様は 狭い鏡を破って 外に飛び出した

 その日の満月は 妙に細長かった



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┃ 星を捕った話 ┃

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 星をたくさん捕ってやろうと思って ほうき星を捕まえて しっぽに長い糸をつけた

 ほうき星が星の間を飛びまわたころ エイッ 糸のはじを引いた 星が糸にたくさん引っかかってきた



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┃ もう片方の月 ┃

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 ちょうど半月の晩 自分が道を歩いていると お月様から異国服を着た人が降りてきた

 オヤ! と見ていると 池に落ちている半月を拾い どこかに消えた あたりにはどこにもいない 首をかしげていると おだやかな満月が そしらぬ顔で空にいるのが見えた



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┃ トランプのクイーン ┃

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 トランプをしていると クイーンが一枚足りなかった どこにいったかしらんとあたりを見まわすと うまくやったなあ お月様がクイーンといっしょにこっちにやってきて にかっと笑った

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