一.一秒物語 1

 --- 稲垣足穂の「一千一秒物語」の続きので ---



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┃ へんな絵本 ┃

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 絵本をあけているみると 突然 何かが飛び出した よく見るとお月様だった 次のページをめくると ビュッと彗星が飛び出した

 今度は何が出てくるかな と次のページをあけると ひゃっ 自分が吸い込まれた



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┃ ほうき星が落ちた話 ┃

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 散歩の帰り道 家にほうき星が落ちたのが見えた あわてて帰ってみると だれもいない ただ白いステッキが一本あった 手にとってよく見ると なんことはない ただのほうき星だ 床にぶつかって気絶したらしい

 おもしろがって ほうき星のステッキを振り回していると 目を覚まし バチン すごい力でぼくをはね飛ばして空に飛んでいった



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┃ 三日月の晩の話 ┃

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 ブーメランを三日月になげたら ブーメランが二つになって帰ってきた

 よく見たら なんて事はない 片方は三日月だった



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┃ 星のいない夜 ┃

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 夜遅くの帰り道 空を見上げてみると 星がひとつもなかった あいつら何やってんだ と思いながら うちのドアを開けると 何やらたくさんの人が わっと出てきた

 中に入ると とっておきのウイスキイが全部呑まれていた

 畜生! おれは 外に出て満天の星めがけて石を投げた



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┃ パリーからきたお月様 ┃

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 パリーからお月様がやってきて お月様に シルクハットや異国服を見せびらかした

「どうだい すごいだろう それにひきかえ君なんか」

 お月様とお月様はケンカを始めた

 エイヤ タア お月様は柔道を使って 相手をはるか異国に投げ飛ばしてやった

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