すべてが馬鹿になる

本作品の粗筋を、と言われれば、偽装夫婦の良質な冒険譚を語ることになる。主人公が不屈の決意を持って、美しく才溢れた愛するヒロインとともに、幾多の苦難に打ち勝っていく。間違っていないと思う。しかし、しかし、間違ってないけど、これじゃない。

読んでみてください。

みんな出てきた時は真っ当なんですよ、出てきた時は。少なくとも真っ当に見える。

でもね、物語が進むとみんな揃って馬鹿。

出てくる連中、自分はマトモと信じつつ、妄想と思い込みで斜め上下右左にすっ飛んでいく。何故にそうなる、のオンパレード。

そのくせ、最後はみんな揃ってあるべきところへ綺麗に着地。ところがその実、揃っているのは見かけだけ。

なんなんだ、これ。

大好物です。