参章

 卒業から、10年の月日が経った。


 俺はそんなに有名でもなく学力のない大学に進学をした。そして、その後の就活はひどいものだ。元々コミュニケーション能力が欠如していたため、不向きな面接により何度も落とされ続けてきた。一次は通る。これだけは強く言いたい。


でも、その後は全くない。それでも、諦めることなく、行った結果があのときはそんなに有名企業ではなかったが、今では老若男女誰しも知る有名お菓子メーカーの開発部に配属された。


そこで今の奥さんと出会い、結婚まで至った。そして、子供も生まれ、幸せに暮らしている。おそらく...


 俺は、いまだに後悔が残る。今では、美人な奥さんと可愛らしい女の子を授かることができた。


でも、今でも彼女のことが好きだし、もし彼女に告白して、結婚して、家庭を持ったら、一体どうなるだろうかと妄想を繰り広げている。


もちろん奥さんらには内緒である。だから、俺は今は一概に幸せとは言い難い。本当の幸せとはなんだろうか、そんな人間の本質、真理を考え始めるようにもなった。


ついに神まで信じるようになった。とある怪しげな宗教に入信した。そのことで、家族と職、そして祖先の縁も失った。そんな再び人生のどん底にいたとき、たまたまとある横断歩道のところで立ち止まった。


そこで、俺はふと向かいの道に誰か見たことのあるような少女が立っていた。まるで高校の時に好きだった人そのもののような少女が立っていた。


そこで急に、頭に痛みが出てきた。目も回るようになった。神様からあの時の罪に対する罰を与えられているような気がする。


そして、目がハッと覚めた時、俺は辺りを見渡す。そこは、横断歩道の上。そんなところに立っていた。


そして、向かいに立っていた少女がより近くに見える。そこでようやく気付いた。あの時の彼女であった。ここは彼女は事故に遭った場所、そして俺もそこで右からくる赤い車に気づかず、はねられてしまった。


 俺ははねられたのに、どこか幸せそうな顔をしていたらしい...


 俺が、この世界を去るとき、白い霧に包まれた。不気味にも感じ、でもどこか心地よさも残っている。


加えて、何やら懐かしくも感じる。


そして、白い霧が少しづつ晴れてくる。そしたら、目の前にある人影が見え始めるようになる。じっとそれを見続け、ようやく俺は気付いた。かつて俺の好きだったあの子だ。


そこでようやく今の俺の状況がわかった。彼女は俺の元へゆっくり歩み出し、より目の前の位置にたどり着いた。そして、彼女は俺にこう言った。


『卒業おめでとう...!』

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ブルー・ハート アカサ・クジィーラ @Kujirra

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