15・宇宙猫エルバッキー
お巡りさん様が一枚の写真を俺に見せた。
三毛猫の写真だ。
夜らしく、周囲は暗くて、ヘイの上に乗っている猫の写真で、目がフラッシュの関係か光っているような感じ。
その写真を俺に見せて、お巡りさん様は言いました。
「見ろ! 写真を撮ったら目が光った! 宇宙猫エルバッキーだ! おまえが犯罪をしたという証拠だ!」
……
うん、意味わかんないよね。
だから繰り返そう。
夜に猫の写真を撮った。
そしたら なんか目が光っているように写った。
この猫は宇宙猫エルバッキー。
俺が犯罪をしている証拠だそうだ。
……
繰り返しても意味わかんないよね。
だからもう一回 繰り返そう。
夜に猫の写真を撮って、目が光っていたから、宇宙猫エルバッキー。
俺が犯罪をしたという証拠。
……
いや、何回 繰り返しても意味わかんないよ。
でも お巡りさん様は本気だった。
写真の三毛猫は宇宙猫エルバッキーで犯罪の証拠だと。
一応 俺はお巡りさん様に質問した。
宇宙猫エルバッキーってなに?
「宇宙から来た猫だ! 猫の姿をして人類を監視している! 貴様が犯罪した瞬間も目撃していた! この写真が証拠だ! どうだ!」
……
この お巡りさん様、統失じゃないかと思うんやけど。
こんなのが拳銃 持ってるのかと思うと、マジで怖くなってくる。
で、裁判では陪審員や裁判官は、目をキラキラさせて、お巡りさん様に尊敬の眼差しを送っていた。
「さすがは世界に誇る日本の警察。このような何気ないところからも、犯罪の証拠を見つけ出したんですね」
マジです。
マジでこう言いました。
有識者とかが集まる陪審員も、高学歴の裁判官も、宇宙猫エルバッキーが犯罪の証拠だと認めた。
そして流れるように有罪。
そんな感じ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます