第3話


「あれ?なんか体が軽いぞ」



 ジャンボはチョコとバニラが話す声で、目を覚ました。

すると二人はジャンボを見て、いつもの元気な姿を取り戻している。



「お前ら、良くなったのか?」



 寝ぼけながらも起き上がり、ジャンボは二人を交互に見た。

二人はたぶん、と頷いている。



「なんか、熱もないみたい」



 ジャンボは二人の額に触れてみて、おお、と頷く。



「良かったな。薬が効いたのかな?」

「じゃあ、学校行ける!?」

「バカ。まだ2〜3日は様子みだよ」



 チョコは不満そうにしたが、バニラはなにかソワソワしていた。



「ねぇ、ジャンボ」

「ん?」



 バニラは嬉しそうな、なんとも言えない顔をしている。



「おかゆ、ジャンボがつくってくれるってほんと?」



 ジャンボはドキッとした。

2人が回復したなら、作らなくてもいいかな〜、なんて不真面目なことを考えていたのだ。

というのも、やはり自信がなかった。

そんなに料理が達者な方ではなくて、よく大失敗することもあるからだ。


 けれど、バニラの期待のこもった瞳に、そんな酷いことは言えない。



「あ…ああ。昨日、おかゆのつくりかたを隣の人に教えてもらったんだ。だから、今から作るよ」

「えー!俺からあげ食べたい!」

「そんなんダメに決まってんだろ」



 チョコはもうすっかり声は元気だが、やはり息が少し上がっていた。

おかゆを作らないとしても、からあげは却下だ。



「横になってろよ。今つくってみるから」

「仕事は?」

「まだ、大丈夫だよ」



 ジャンボはバニラの頭を撫でた。

チョコは色々と不満そうにしてるので、デコピンした。

いてぇー!とか騒ぐ声に、ジャンボはほっとする。


 そして、ついに台所に立ってしまった。

文字が書けるなら、いくらでもメモをとったのに、なんて昨日からずっと思っていた。

けれど、やって見るしかない。

ジャンボは米を取り出して、いつものように洗い、そして昨日見たはずの手順を繰り返した。

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