第2章第004話 毎度おなじみリバーシです
第2章第004話 毎度おなじみリバーシです
・Side:ツキシマ・レイコ
実は、もう二つほど道具を頼みたかったので、ハンマ親方に相談してみました。
一つ目は、ミキサーが欲しいのです。マヨネーズを作るのに、泡立て器だけではキツいので。
ただ、二つの攪拌機部分を手回しで回すのに歯車が必要です。この国に来て、まだ歯車とかネジは見たことがありません。
簡単な構造図を板に描きます。ハンドルを一回転させると、二つ付いた攪拌機のところが五回くらい回感じで。
「これは…正教国の時計に使われているってやつか?」
あ。時計はあるんだ。
強度、精度も必要だけど。歯車を量産する機械から考えないといけません。
流石にこれはすぐには無理と言うことで。開発費の名目で手付けを払って依頼するという形になりました。後日契約書ね、アイリさん。
最後の一つは押し出し機。
テコの原理のトコロテンの機械とでもいいましょうか。これがあれば、ミンサーの代わりに挽肉作ったりとか、押し出しでパスタを作ったり出来ます。トマトっぽい野菜はあったので、トマト系スパゲッティーは出来るでしょう。ピザとなるとチーズが欲しいところですが。牛乳はあるので、バターや生クリーム含めて乳製品はいろいろ試さないとね。
押し出し機は、強度が必要なところは鋳造になりそうですが。こちらはまだ構造が簡単なので問題なく作れそうとのこと。たぶんまた奉納行きになりそうだ。とりあえず手付金を払って試作を依頼します。
とりあえず泡立て器は、竹製のものはすぐ作ってくれるそうです。明後日には納品、早いね。まぁ、曲げた竹串を、竹筒に嵌めて、膠っぽいので固めるだけだし。ただ、それでも二百ダカム、五本作って三百ダカム。量産すると割安だけど、一本六千円ですか、オーダーメードは高いです。それでも多分、定期的に購入することになるでしょう。
泡立て器は、農村での冬場の内職に最適だと、ハンマ親方が言ってます。やっぱ奉納しとくか?と聞かれたけど、これくらいはまぁいいよね。
ではこれでよろしくお願いします
一通り用事も済んだので、帰りましょう…と思ったら。通りがかった皮を加工しているところで、丸い皮が大量に桶に入っているのを見つけました。
牛の皮あたりを、ロープを通す穴をパンチのような物で開けたのか、コインくらいの丸い皮で、黒とベージュの裏表…。
これでピンとこない転生者はいない!ということで。タルタスさんに適当なサイズの板を用意してもらいます。
板がある木工所には墨壺みたいなのもあったので、それで八×八のマス目を書いて…リバーシのできあがり!。
アイリさんが頭に"?"を浮かべていたけど。アイリさんとタルタスさんを机に座らせてルールを説明します。
ルールは一分、極めるのに一生だっけ?。完全初心者が対戦してどちらが勝つのか?にはちょっと興味あったのだが。なんと引き分け。
このあと四回やって、二勝二敗でした。コツは掴めたかな?
「レイコちゃん、これおもしろい!」
「ちょっと親方呼んできます!」
今度は、ハンマ親方とカンナさんの対決。最初の一勝はハンマ親方だったけど、次の三戦はカンナさんの勝ち。先に置いてはいけないところ、先に取っておきたいところ、この辺のコツをカンナさんは早々に掴んだようです。
タルタスさんは、板をもう一枚作ってきました。丸い皮はまだ桶に一杯あります。
なんと、タルタスさんとレッドさんの対戦です。…レッドさんの勝ちだけど…リバーシって、あそこまで真っ黒に出来るもんなんだね。
「クーッ!」
タルタスさん、呆然としてます。レッドさん、ドヤ顔凄いね。
桶の中の皮の枚数を数えてから、板をあと五枚用意しました。
最初の二セットはハンマ親方のところに置いていき、一つはファルリード亭へのお土産。残りはアイリさんがランドゥーク商会に持っていくことに。
「奉納案件ってだけでも手配と契約回りが大変なのに、それがいきなり二つも… しかもまだ増えそう…」
しばらく忙しくなりそうです。タロウさんに押しつけちゃえば?
タルタスさんは、契約前だというのに奉納バージョンのリバーシについて、いろいろ考えています。
「コマは木から削り出し…いや、石を使えば貴族にでも売れるか。装飾は…」
ブツブツ言っています。
うん。日が暮れるまでにファルリード亭に帰れるかな?という時間なので。そろそろお暇を。
ちなみに。ファルリード亭最強は、モーラちゃんでした。私とレッドさんは番外ですけどね。
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