第1章第038話 中央市場

第1章第038話 中央市場


・Side:ツキシマ・レイコ


 渡し船は、中央市場近くの桟橋に着きました。十五分くらいですか。川の流れの関係で、帰りはもっと時間がかかるそうですが。

 ここからだと、南の港とやらに止っているらしい帆船のマストなんかも何本か見えてます。あちらのもそのうち行ってみたいところですね。


 桟橋から少し歩けば、市場の入り口です。


 「食品なんかは、朝一が一番混雑するけど。食品以外はこの時間から混み始めるから。はぐれないようにね」


 と、アイリさんが手を繋いできた。レッドさんは、エカテリンさんが抱っこしてます。


 おお。屋根付きの小店舗が百メートル以上続いている。この列が十本くらい横に。歩くだけで1キロ以上はある巨大市場です。


 一つの店は、四畳半くらいの広さが基本的なブロックで。それを2ブロックや3ブロック確保している大きめの店もちらほらあります。

 入り口の威嚇は、日用品などの雑貨がメインかな。ナイフを研いでいる人がいる…と思ったら、床屋でした。ハサミで髪を切るのではなく、髪をナイフで梳くように切っています。お客は男の人が多いね。髭をあたるのは別料金のようです。


 少し行くと、5ブロックくらい確保して、服を大量に並べている店があった。


 「ここでまず、普段着を見ていきましょうか」


 「こんなところでいいのか? 服くらい伯爵がそのうち送ってきそうだけど」


 「こんなところで悪かったね。…そこの嬢ちゃん、かなりいいもの着ているけど、うちなんかに用があるのかい?」


 店先で座っていたおばさんが、タロウさんに文句を言う。今のはタロウさんが悪いよ。


 「タロウは余計なこと言わないの。ごめんなさいね、この子の服が上等すぎるので。普段から気軽に着れるような服を探しているんだけど。良い服ない?」


 「ははは、その上等な服より良い服かい? まぁ事情は分かったよ。ちょっとまってな、見繕って上げよう」


 この国での流行とか分らないので。アイリさんとおばさんが、あれこれ取っ替えひっかえして服を合わせてくる。

 結局、薄草色のワンピース、ベルト代わりの腰紐、薄紅色のチョッキに、ウエストポーチみたいな小物入れを買った。ポーチはそのまま財布として使えば良いとのことです。

 試着室みたいなところもあったので、買った服に着替えることにしました。


 「いかがでしょう?」


 「うんうん、良い感じよレイコちゃん」


 「それなら、その辺の女の子と変わらないな」


 着替えとしてもう一セット見繕ってもらって。肌着とかも揃えてもらいました。…かぼちゃってよりはトランクス?

 お値段は、小金貨六枚、六百ダカムほど。地球の感覚だと六万円くらい? 高いと言えば高いけど、この時代レベルなら、布の類いが高いのは普通なのかも。

 これでも安いんだそうです。中央通りだともう一桁上の服も珍しくないんだとか。


 リュックも買いましたが。脱いだ服はもともと持っていたリュックの方に詰めます。

 その服を売ってくれないか?とおばさんに言われたけど。一応思い出の品なのでごめんなさいしました。


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