第4話
「逆ナンしよう」 え?驚いて摘まんでいた茄子の浅漬けをテーブルに落としてしまった。
「電車でお腹痛くなったふりして、助けてもらおうよ
そんで、今度お礼にご飯いきましょうって」
「ムリムリ、バカじゃないの?」
「この遥さんが一生懸命考えた作戦なのにバカとはなにさ」
ニヤニヤしながらビールをがぶがぶ飲んでいる遥を睨む。他人事だと思って、恥ずかしい。
「あとは神奈子teamLab好きでしょ、今度からウチ誘わないでその人を誘えば?snsで探してさ。新しい展示見に行きませんかーって。水族館でもいいじゃん。あとは…」
相変わらずあぁでもない、こうでもない好き勝手な事を言い続ける遥を適度に無視しつつ、夜が更ける。
最寄りの地下鉄まで一緒に歩き、私はJRだからと遥は別の方向に歩きだそうとして何かに引っ張られるように立ち止まった。くるっと振り返って神妙な顔をしてこちら見る。「マジメな話するね」「うん」
勿体ぶる遥と私の間に一陣の風が吹く。
「アクションを起こさなきゃ、認識すらして貰えないよ。神奈子よく言うじゃん、この予感を逃したくないって。今のままでいいの?」
黙る私。神は信じていない。でも自分の直感は信じている。私たちの間に再び風が吹く。
「まぁ、明日は日曜だし酔いが覚めた頭でよく考えなー」
遥は颯爽と改札に消えていく。
私はまだ動けないでいる。
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