第4話
気づくと俺はまた草むらに寝っ転がっていた。しかも今度はあたりがとても暗いな。
夢から冷めてまた別の夢か。もう抜け出せないのなら今度の世界はもっと遊んでやろう。そう意気込む俺の顔の上を大量の何かの群れが通りすぎる。なんだ、バッと体を起こすとワーッとした歓声が広がった。
なんだなんだと周りをみる暇もなくパンパンという激しい音が聞こえ、夜空を見上げるとあたりからたくさん花火が打ち上がる。
よく見る大きな円形状のものや、ネズミ花火のように縦横無尽に飛び回るもの。星や植物、動物を象るもの。
視線が空に釘付けになる。
ひとしきり花火が終わると空から数枚の様々な色をした大きな布がにょきにょきと出現する。布同士がヒラヒラとくっつきあい、魚のように空を遊泳する。布がくっつくことで色が混ざりあい、変化しオーロラのように色を変える。緑、赤、紫、青。段階的にゆらゆらと色が変化する。
スゴい。月並みの言葉しかでなかった。こんな夢なら大歓迎だ。
と、ふと先ほどの石の建造物を思い出す。彼女はどうなった?
視線を地面に戻すと彼女は数m先にいた。一定のリズムで、頭の上で手をパンパンと叩きながらその場をくるくる回っている。
彼女の脇で一緒にクルクル回るのは発光したひまわりとアジサイだ。
彼女は黄色のドレスに着飾っている。
彼女がくるりくるりくるりと回るとハッピに、さらに回ると袴姿になった。3回回る度に脇のダンサーも花の種類を変える。パンジー、マリーゴールド、あぁあれはなんだろう、分からないや。でもとても綺麗だ。
俺の視線に気づくと、回るのを止めて俺の方を見てくる。
距離があっても、薄暗くても分かる位のドヤ顔だ。さっきまでの能面顔が嘘のようだ。両脇のダンサーに手を振り、植物達も同じように揺れる。ゆっくりと俺の方に近づいてきて、2mほどの位置で止まる。右手を顔の前に構えるとパチンと弾いて指を鳴らした。どうやったらそんな音が出るんだ。あまりの音量に思わず目を瞑る。その間に彼女はマジシャンの格好をして、左手にはステッキを持っている。こちらに投げキッスをして、被っているシルクハットを俺の方に投げたかと思うと、俺の視界を遮り俺の顔がシルクハットに埋まる。
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