ある男の話β

第1話

仕事帰りに電車でうとうとしていたと思ったら原っぱに寝転んでいた。草が肌に刺さる感触、柔らかな太陽の匂いがする。眼前には目が痛くなるほどすみわたる青空。そして空にはいくつかドローンのような飛行物体が浮かんでいる。

あぁ夢か。夢なんて久しぶりだ。しかも夢だと認識してるなんてさらに稀だ。

手をグーパーと握ったり、腹に力をいれて起き上がる。凄い、自分の思い通りに動ける。こんなことがあるのか。

新鮮な喜びを感じながら改めて前を見て、一歩、二 歩後ずさり尻餅をつく。心臓がどくんと大きく跳ねる。草むらのほんの2.3m先が見えない。地面が途切れている。

ここは何処かの島か?いや青空の近さ的に空に浮いている?ラピュタかもしれない。

巨神兵はどこだろうと振り返り辺りを探して見たが、あるのは不自然に立っている灰色のほこらのような建造物とそこに続く石畳だけで、人は元より他の生命体を予感させることもない。

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