〜猫の日準短編〜好きな女の子に想い人がいることをいる事を知り落ち込むも、一日だけの奇跡が起こった女の子のお話②
「武藤さんって、毎日告白されてるらしいって聞いたけど、ほんとなん?」
「そーそー、もし本当なら超良くない? 男選び放題じゃーん」
「えぇ? そんなことないわよ」
穂乃果は少しとまどったような声で女子二人に返事をする。
「そう? じゃあそう言うことにしとく」
「じゃあさじゃあさ、武藤さんって今好きな人いないの?」
「……」
壁の向こう側で今穂乃果がどういう状況なのかは、さっぱり私には分からないのだが、返事に詰まった穂乃果の吐息がまざまざと私の耳には聞こえてきた気がした。
「あー! その返事は正解だなぁ?」
「誰々? 誰なの!?」
女子二人は穂乃果に食い気味に尋ねる。
「あれ? あの、隣のクラスのサッカー部の鈴木くんとか?」
「違うわ」
「じゃあ、うちのクラスのバスケ部の高橋くんとか?」
「それも違うわ」
穂乃果は、先ほどまでの歯切れの悪い返事とは打って変わって、ぱっぱと返答を返していく。
その後も、何人かの男子の名前が上がるも、穂乃果は間を空けずに「いいえ」を繰り返す。
「えー、これ当たる気がしないわ」
「ほんそれ。むずすぎでしょ」
「ふふ」
女子二人が困っているのをみて、ちょっと楽しげに呟いた穂乃果の笑い声が聞こえてくる。
なんだ、いつもの穂乃果いじりか。
じゃあそろそろおとなしく教室入ろ、と思って立ちあがろうと床に手をついた時。
一つの爆弾が落とされた。
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