長き夢の終わり(2)

 天界の続きのような、白く明るい空間に、天使は立っていた。俺を見て、いつものように穏やかに微笑んだ。

「お前が来てくれると信じていたよ」

 その細い体を抱き締めると、天使も同じくらいの力で返してくれた。久々の感覚に、夢の中だというのに涙が出そうになる。

「また会えなくなるかと思った……」

「すまない。こうするしかなかったんだ。……怒っているか」

 首を振る。こいつは自分の為すべきことを為しただけだ。何を置いてでも、為さなければならなかったのであろうことを。

「怒ってなんかないさ。また会えたから、もういいんだ。一緒に帰ろう」

「うん」

 柔らかな唇に、そっと自分の唇を押し当てる。

 眠り姫は長い夢から覚める。美しい黎明が、ようやく始まる。

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