第6話

 「みなさんにはお伝えしていませんでしたが、新しい工作員をスカウトしました」

 ももが伝えると猿、犬、雉たちに質問攻めしました。

 「どのような動物でしょうか?」

 「猫か?やつらは奔放すぎて使い物にならんぞ?」

 「ヤギがいたら、天気の変化を事前に察知できるかもしれんな」

 おのおのが好き放題いっているのをももはなだめてから話し始めました。

 「3週間前に浜に流れ着いた鬼です。キツツキさんたちの工作で海の藻屑になりそびれた鬼だと思います。唯一の生き残りでしょう」

 猿、犬、雉たちは茫然としてからすごい剣幕で話し始めました。

 「鬼と協力しろだと無理に決まってるだろうが!」

 「鬼が裏切ったらどうするんだ!」

 「いったい何をかんがえてるんですか!」

 ももはふたたび猿、犬、雉たちをなだめてから話しました。

 「別に皆さんと協力してもらうわけではありません。あの鬼を保護してから手厚く介抱し、略奪をしなくても物々交換や貨幣制度で物を手に入れられること、略奪はそれっきりになってしまうが、商いなら継続的に物を手に入れることを伝え、いかに略奪が非合理的であるか教育しました。鬼ヶ島に帰ったら鬼の集落に宣伝してもらいましょう。宣伝を促すためにも手土産を沢山持たせたいと考えております」

 ももはまたいやらしい笑みを浮かべました。

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