第5話

 猿、犬、雉たちは直接は会わないものの相互に情報交換を行い、鬼ヶ島の調査を進めていき、一か月がたちました。

 猿、犬、雉たちがももの元に戻ると、それぞれが調査した結果をももは紙に書いてまとめていきました。

 「こんな感じでしょうか」

 ももが描き上げた紙を壁に貼り付けると一同で眺めて確認しました。

 「まあ、こんな感じか。鬼の集落は島の南側にあって、そこから西に炭小屋、北は伐採場、北北東に田畑、北西は川を利用した洗濯場だ」

 「島の形状も上空から眺めた感じと相違はないな」

 「みなさん、調査ありがとうございました。これで色々と策を考えることができます。食料を生産している田畑や、燃料を作っている炭小屋などが機能不全に陥れば鬼たちは非常に困るでしょう。今は船もありませんから、食料調達のために島を出ることも難しくなっているでしょう」

 ももがいやらしい笑みを浮かべていうと、猿が話しかけました。

 「船はすべてがなくなったわけじゃない。漁業の小舟は数隻ある。まぁ、略奪に出かけられるような大きさじゃないが」

 「田畑が使えなくなったら、漁業で飢えをしのぐってことですね。ではその小舟も使えなくしておきますか。そう考えると船を作らせないように木材も手に入れられないようにしたいですね」

 ももは再び慈悲のないことをいいはじめ、猿、犬、雉たちは苦笑いをするしかありませんでした。

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