第4話
猿が鬼の集落を偵察している同時刻、犬は自慢の嗅覚で集落周辺の探索を行っていました。
(……鬼のにおいと、焦げたにおいが西の方から漂ってきている)
犬はにおいの元へ歩を進めると一軒の小屋のようなものが見えてきました。犬は近くの茂みに隠れ様子を伺いました。
小屋の中には釜とたくさんの炭が置いてあることから、炭小屋であることがわかりました。薪を抱えた鬼が炭小屋へ入っていたので、これから炭をつくりはじめるのでしょう。
(よし、他のところを調べるか)
そのあと、犬はにおいを辿って、鬼の集落から北に位置する伐採場、北北東に位置する田畑、北西に位置する川を利用した洗濯場を見つけました。
(これぐらいにしておこう)
犬が集合地点に到着すると、ももとの会議を思い出していました。
「猿さんは、断崖絶壁から上陸したら、誰も近寄らないような場所をセーフポイントにしてください。おしっこでマーキングしておけば犬さんも辿りつけると思います」
ももの説明に対し、雉さんは挙手をして質問をしました。
「俺は匂いを辿れないが、どうすれば?」
「雉さんは上空から場所を確認してください、ただ一点だけみなさんに注意があります。セーフポイントでお互いに接触することがないようにしてください。お三方がセーフポイントに集まっているときに一網打尽にされたらどうにもなりません。情報交換の際は、セーフポイントに書置きを残しておいてください」
ももは雉の質問に答え、そのまま説明を続けました。すると猿がフッと鼻で笑ってから話しました。
「なるほど、俺たちは協力関係であることを知られないためだな。やるじゃねーか」
犬が集合場所の地面に目をやると、猿が得た情報が書いてありました。犬がその情報を読んでいくと、最後はこのように書いてありました。
『少し離れた杉の大木の根本に食料を置いておいた。腹の足しにしてくれ』
(食料は各自現地調達って話だったのにな。あの猿、口は悪いが気は聞くな)
犬は自分が得た情報を地面に書きこむと杉の大木まで走っていった。
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