第3話
同時刻 鬼の集落
猿は木に登り、鬼の集落を偵察しながら、会議でいわれたももからのお願いを思い出していました。
「猿さんには犬さんと小舟で進出してもらい、人目のつかない断崖絶壁から上陸してください」
「なるほど、俺も上陸とともにお縄にはなりたくないからな」
猿が腕を組み首肯していると、不安そうに犬が話し始めました。
「あの私は断崖絶壁からでは無理ですが……」
「犬さんには申し訳ありませんが少し泳いで上陸しやすいところからお願いいたします。でも見つからないようにしてください」
ももはそういってから、すみませんと少し頭を下げると犬はわかりましたといって拝承しました。
「で、上陸してから何をやるんだ?」
猿が疑問を投げかけると、ももは説明をつづけました。
「鬼の集落の様子を伺ってもらいます。集落のどこにどんな建物があるのか、鬼の生活様式はどんな感じか、何を食べているか、娯楽は何か、色々です。我々は鬼を知らなすぎますので。それから、もう一つは斧やトンカチといった大工道具をバレないよう少しずつ盗んでは海へ投棄してください」
「なるほど、船を作らせないってわけだな。そういや犬公には何をやらせるんだ?」
猿は犬が何をするのか気になって、ももに質問しました。
「犬さんには優れた嗅覚を使ってもらい、集落から離れたところに何かないか探索してもらいます。猿さんとは別行動です」
「そいつは助かるぜ、どんくさいやつと一緒に行動するのはだるいからな」
ももは猿の発言を聞き、やっぱ犬猿の仲かと思っていましたが、犬は気にする素振りを見せず、相手にしようとはしませんでした。
「さて、そろそろ帰るか。鬼の集落から適当に飯でもかっぱらってくるか」
そういって、猿は偵察任務を切り上げると鬼の集落から野菜を盗み、山へ消えていきました。
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