第5話 改めまして

「大丈夫ですか⁉︎」


「だ…大丈夫、問題ない」


 加納勇助は身体を起こすと、椅子を戻して再び腰を落ち着けた。


「で、えっと…ちなみに死んだって、いつ?」


 色々と訳の分からない状況であるが、幽霊だってのが確かに一番しっくりとくる。


 この状況を受け入れるために、悟りの境地に達したようだ。


「その前に、自己紹介をさせてください」


 少女は後ろ手に両手を組んで、可愛くペコリとお辞儀する。


「私は悠木玲奈ゆうきれいなと申します」


「あ、ああ。俺は加納勇助かのうゆうすけだ」


「勇助さん…勇くんですね」


 そう言って悠木玲奈は、嬉しそうに頬を染めた。


「いやそれは…ちょっといきなり過ぎないか?」


「別にいいじゃないですか。私なんて、幽霊なんですから」


「そう、それだ!」


 そこで加納勇助は思い出す。


「だから、いつ何処で、何で死んだんだ?」


「それが、よく思い出せないのですが…たぶん昨日の夕方、車に轢かれてだと思います」

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