あらすじ

ここまでのあらすじ(一~三)

 伊賀のくノ一、藤林碧ふじばやし あおいは、行方不明となった許婚、花神恭之介かしん きょうのすけの捜索を兄長門ながとから命じられる。

 彼女は朋輩の伊賀崎嵐いがさき らん城戸鶫きど つぐみらとともに志摩に漂着したイスパニアのガレオン船へと向かう。

 そこに待ち受けていたのは、南蛮人宣教師のエミリオ・エンシーナであった。

 彼は不可思議な妖術を使い、三人のくノ一を散々に翻弄すると、花神が生きていることを示唆して、姿を消した。

 藤林屋敷の社には莫大な霊力を秘めた魂魄石の付けられた宝刀「暁星丸あかぼしまる」が納めてあった。

 その暁星丸を狙って花神恭之介が現れる。

 そこに居合わせた長門に、碧の師であり父とも慕う加瀬又左衛門かせ またざえもんが加わり、ふたりと花神の間に激闘が繰りひろげられる。

 決着間際に帰着した碧であったが、目の前で又左衛門が花神の凶刃にかかり倒されてしまう。

 怒りに駆られ暁星丸を振るう碧であったが、花神を倒すには至らず、逃亡を許してしまう結果となった。


 後日、碧に長門から、果心居士かしんこじのもとで修業を積むように任務がくだる。

 居士は、妖術を極めた仙人のような老人であり、花神の師でもあった。

 碧は、居士に指導されるまま、滝に打たれ、山の樹々を斬り倒して修行を積み、「旋律の律動」という、体内の霊力を操るすべを会得するに至る。

 そのころ、花神の仲間である鬼巌坊きがんぼうが嵐の前に現れる。

 意気軒昂、闘いをいどむ嵐であったが、なすすべなく、その雲水の使う少林拳によって倒されてしまう。

 そして、嵐と鶫も居士に教えを受けることになり、三人のくノ一は花神一党に対抗できうる力を手にするのであった。


 次に碧たちにあたえられた使命は、九度山村の真田屋敷に眠る魂魄石の付けられた兜「雲鶴うんかく」を入手または破壊せよ、というものであった。

 九度山に到着した少女たちは、真田幸村の娘あぐり・・・と出会う。同時に、甲賀忍猿飛佐助さるとび さすけとも邂逅する。

 その夜、夕餉の席であぐりが、兜を高野山にあずければいい、という提案をした。

 彼女の案に乗って、翌朝、碧たち三人はあぐりと佐助とともに、高野山へと向かう。

 その途次、奇妙な深い霧に包まれ、あげく一行は分断されてしまう。

 碧は濃霧の中で新たな敵、巫女各務かがみの襲撃を受ける。

 鬼巌坊とエミリオも現れ、忍者たちは各々が善戦するものの、真田の魂魄石は敵の手に落ちてしまう。

 各務の操る邪神怨魔閻羅おんまえんらの触手による攻撃を、碧は旋律の律動を発動させて撃退する。

 直後、碧の前に現れた花神恭之介は、各務と口づけをかわし、ふたりの濃密な関係を見せつけ、彼女の心を掻き乱すのであった。

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