第21話 頼み

「え、えーと、その、つまり新しい小説を書いてほしいってことかな?」

「は、はいっ」

 早口でまくし立ててしまい、何をしゃべったか分からないかと思ってけど、なんとか言いたいことは伝わってくれたようでひとまず安心した。

「それで可愛い女の子が出てくる小説といったね?」

「は、はいっ!リアスさんの小説に出てる女の子が本当に可愛くて!だけど他の小説にはそんなの全然なくて……。だ、だからリアスさんに是非小説を書いて欲しくて、あの……」

 とにかく萌えを補給するために小説を書いてくれなんて言えないから、とにかく可愛い女の子が出てくる小説を書いてくれと頼むしかない。

 するとリアスさんはどこか嬉しそうに喜々とした表情を浮かべた。

「まさかあの良さを分かってくれる子がいるなんて思わなかったよっ。やっぱり可愛い女の子はいいものだよね!」

 しかもいきなり何か語り出した。

 だけどその口調から何か同類的なものを感じてしまうのは気のせいだろうか?

「確かに君の言う通り、この世には女の子が出てる物語が全くないんだ!活躍するのは全て男と言わんばかりのその風潮は俺は本当に気に入らなかったんだよ!」

「そうなんですよっ!」

 リアスさんからオタク的な何かを感じ取った俺は気づいたら何かのスイッチか入った。

「まるで男尊女卑な思想は俺は本当に気に入らない!男だからとか女だからとか全然関係ない!むしろ女の子こそ敬うべきだ思います!」

「なねほど男尊女卑。確かにその通りだ!そう!男ばかりじゃなくても女性が活躍することだって当たり前にあるべきだ!その為に僕はあの本を書いたんだよ!」

「ですよねっ!」

「ま、まぁ。もっとも僕は女の子が好きだからこそ、可愛い女の子を見たいために書いただけだがな」

「本当に尊敬しますよ。俺なんて可愛い女の子が見たくても、小説を書く才能がないんですから……」

「なるほどだからこうして僕に頼みにきたと?」

「はい。そうなんですよ」

 まさかこの世界に来て可愛い女の子について語ることが出来るなんて思ってもなかった。

 萌え文化がない世界でも、やはりリアスさんのように萌えを求めている人はいるんだ。

 だったら。だからこそこの人だったら俺が望むような萌え小説を書いてくれるはず!

「――なるほど、頼みは分かった。だがすまない。僕は君の頼みを聞くことは出来ない」

「えっ?」

 あれだけ話が盛り上がっていたのに突然表情が一変。

 てっきり引き受けてくれると思ってたのに断れてしまい、呆気にとられてしまう。

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