第22話 お手伝い

「どうしてなの?リアスの小説あんなに面白いのに……」

 リアスさんに断られて落ち込んでいる中、エリが断った理由を尋ねる。

「すまないね。そもそもこの世に女性が起こした物語が語り継がれていないということもあって、中々小説を書けないんだよ」

「そんなぁ〜」

 エリが駄々をこねるように頬を膨らませるが、リアスさんは申し訳ないと言って謝るだけだった。

 そしてリアスさんの言葉で思い出したけど、そういえばこの世界は実際に起こった出来事を元に小説を書いているんだった。

 だからいくら可愛い女の子が出てくる小説を書いてくれといっても、この世界の常識では存在しないことは書けないということだ。

 ここで新しく、自身で創作した物語の小説を書けばいいと提案しようとするが、それよりも先にリアスさんがため息混じりに何やら呟き始める。

「そもそも最近は少し街の治安が悪くてね。なんでも若い女性を狙った変質者が増えているんだよ。僕達衛兵はその対応に追われて、とても執筆する時間なんて確保できないんだ」

 どうやら話がない以前に、かなり忙しそうだった。

 てっきり俺はあの程度の変質者は日常茶飯事かと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。

「そうねぇ。確かに最近はお店でよくそういう話を聞くわ」

「そういえばそうね。ほんといい迷惑だよ」

 どうやらエリは先ほどのことを思いだし、嫌な顔を浮かべる。

「確か集団で行動しているのかしら?」

「そう、みたいですね。ほんと迷惑ですよ。本当に……」

 どうやらかなり変質者の集団に苦労しているようで、リアスさんはうなだるように深くため息をこぼす。

 しかし、変質者の集団か……。

 まさかそんな不埒な集団がいるなんて、許せないな……。

 しかもそのせいでリアスさんに小説を書いてもらえないときた。

 もう、だったらやることは一つしかないな。

「だったら俺がその集団を捕まえてみせますよ!」

 そう。俺がそいつらを捕まえればいい。

 そもそも女の子を傷つける奴は許せない。

 この気持ちは二次元でも三次元でも一緒だ。

「えっ?いやでも危険な目に遭うかもしれないことを頼む訳には……」

「いいじゃないっ!」

 リアスさんは咄嗟に断ろうとしたが、それを遮るようにエリが声をかぶせる。

「私も仕返ししたいしっ!やろうよタイチっ」

 どうやらエリはエリで大分恨みを持っているようだった。

「ちょ、ちょっと待って!だから二人を巻き込む訳には……」

 さらにリアスさんが俺達を止めようとしてくるがもうすでにエリも俺も止まるつもりはなかった。

 そして最終的にそれを後押ししたのが。

「――いいじゃないか。二人に手伝ってもらえリアス」

 いつの間にか来ていたダインさんの言葉によって、俺達はリアスさんの手伝いをすることになった。

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