第12話 二人
ついに、雪まつりまで一週間を切った日。それなのに、私は高熱にうなされていた。
「………のか、大丈夫か、おい。穂乃果?」
ぼんやりとした意識の中、直くんの声で目が覚める。
「………直…。」
「ごめんな、寒い中練習につき合わせて、悪かった。」
違う、直くんのせいじゃない、そう言いたいのに、熱で全く声が出ない。
…それでも。
「直くん。聞いて、欲しいことがあるの。私ね…。」
「どうした、ゆっくりでいい。 なんだ?」
「あの時、…七年前、私のことを救ってくれて、ありがとう。直くんがいなかったら、私、どうなってたか…。ほんとに、ありがと。」
「/// いや、そんなことない、立ち直ったのはおまえ自身の力じゃねーの。」
恥ずかしがっている直くんの癖で、私のことを「おまえ」と呼ぶ。なんだかそれがうれしくて、つい頬が赤らむ。
明日は学校に行って、直くんに会えるかな…
明日こそは、あいつに学校で会えるかな…
それから、
あいつに
直くんに
好きだって、ばれませんように………。
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