第6話 帰り道
「直くん。」
「なにー、あー…俺今日疲れてっから今から話す暗い話は聞けないかも。ごめんな。」
暗い話だってなんで分かったんだろう。声色にも出さないように頑張って話しかけたというのに。「ううん、大丈夫。」今日の私は、直くんに嘘をついてばかりだ。
「穂乃果。オレが話しても、いいかな。」
「?」
多分、その時の私の顔は酷い顰めっ面だったんだろうな………。
「オレらって、………………お前の中では、……………双子みたいなのか?」
長い沈黙が私たちの間を駆けて行った。
「双子、じゃ、やだ?」
もう、後戻りはできない。
我慢も、できない。
私は、双子じゃ嫌なんだ。
好き同士が、良い。
そんな本音が、脳裏を走馬灯のように駆けて消えた。
「オレは、そうは思ってないんですけど。」
予想していなかった返事に、困る。
「…………………………私も、そう思う。」
「なら、なんであんなこと。」
「…………………………今からでも、変えれるよね?」
「えっ?なんて言った?」
「…………………………………今日から、幼馴染禁止って言ったら、どうする?幼馴染じゃない。友達もイヤ。私は、直くんと、そういう関係になりたい。」
「それは、そういう、こと?」
私は黙って、平常心を保ったまま、ゆっくりと頷く。
「ごめん。無理だ。穂乃果とは、その………。」
「そう。なら、別に、良い。」
嘘だった。
そうならなきゃ、私は苦しくて泣いてしまうのに。
そうならなきゃ、私は悲しくてたまらないのに。
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