第5話 本音

「幼馴染って言うけど、実際は双子みたいで。サッカー部のことも、私がマネージャーになってから入るって知ったくらいで。…なんか、腐れ縁みたい。」

「ふーん、そうなんだ。仲良いんだな。」


最後の一言は嘘だな、と一人で思う。腐れ縁だなんて、1ミリも考えていない。

確かに、小学校の頃からクラスはずっと同じだし、家も近いから地区班も同じ。

周りから冷やかされることもあったけど、別に、そういう対象ではないから気にしてなかった。

だけど、今は………。


「直哉?なに渋い顔してんだよ…(笑)いいじゃん、2人が幼馴染でも、そうじゃなくても。オレは仲良いだけいいと思うんだけど。」

「…………………………うん、そう、だよな。なんか、変に捉えてた。穂乃果も、ごめんな。」


直くんは今、何に謝ったんだろう。私、何もされてないんだけどな。

「ううん、双子だなんて言って、ごめん。」


「日下部?」

「ん?」

「なんか、しっぶい顔しててブサイク。」

「はぁぁぁぁああ!?」

今度は、私と佐野くんがコントみたいになってしまった。

それを見て、直くんはずっと笑っている。だけど、どこか無理してるような顔をしてる…。


双子じゃあ、オレが好きだって言っても、どうせ………。


私、双子だなんて、思ってないよ、好きになったんだもん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る