第2話 馴れ馴れしい
いつも通り学校に行って、いつも通り運動着を着て、いつも通りマネージャーノートを持って、校庭に行く。ただそれだけのことに、私はやたらと時間がかかる。まだ半分寝ているし、起こされるのも疲れるし、せっかく一度来た制服を脱ぐのも億劫になる。
「さむ。」
誰もいないはずの教室で、一人つぶやいた。
「だよなぁ」
急に声がして、あたりを見回す。確かに誰もいないはずだが。
「っと。オレ、佐野。サッカー部。」
見ると、窓に見たことのある顔がのぞいていた。
「…なぁんだ。佐野くんか。びっくりさせないでよ。」
彼はサッカー部の副キャプテンで、直くんと2人でサッカー部のトップ2と言われている。確かに直くんに比べたら顔もいいし、直くんに比べたら性格もいい。
「なんだってなんだよ。…あ。お前今、寒いって言ってたよな?ちょっとこっち来てみ?」
窓側の方が寒いし、風も冷たいし、正直行きたくなかったけど渋々近づいた。すると、頬に温かいものが当てられた。
「…なに。」
「カイロ。あったけーだろ?これ、オレの二刀流だからさ。」
突然両頬に当てられたカイロに、私は動揺した。
「て、てか、なんで、練習は、みんなもういるのに。」
「普段直哉にばっかり話しかけてる罰ゲームだよ。オレだっておなじクラスなのに。」
…突然馴れ馴れしいなっ、佐野くんは!
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