その夜猫、人見知りにつき
最近、夜猫を飼った。
夜にならないと現れない、妖精みたいな黒猫。
だけどうちの夜猫は、夜になっても現れない。付けた名前で呼んでも駄目。逃げたのかと思っても、お皿に盛った餌はいつも綺麗になくなっている。
ペットショップの人に電話すれば、特別人見知りが激しい子なんですよと、謝罪と共に、今は見守っていただければとお願いされた。
さて、どうするか。
見守るっちゃ見守るけれど、いつまでもこのままなのは嫌だ。末長いお付き合い、仲良くやっていきたい。
色々策を考えるけれど、せめて一月、様子を見守ろう。一月経ったら実行だ。
そんな風に考えて、とある夜。布団で横になっていたらお腹に何かが乗っかる。重い、すごく重い。薄く瞼を開けると、
「……ぷに」
ちょっとふてぶてしい感じの、大きく丸い私の夜猫と微妙に目が合う。
「……っ!」
こんなことは初めてだ。だからうっかり「■■■」と名前を呼んで──瞬きの間にいなくなられた。
「……」
夢かなと、強めに頬を叩いたら、痛いだけだった。
私に慣れてくれるまで、あと百日。なんてね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます