第15話 アインスside 2

不快な表現が入りますのでご注意下さい。

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 翌日マイアと別れを告げ、カーナの所へと向かう。


馬車鉄道の乗り心地は素晴らしい。逸る気持ちを抑えつつ、外の景色を楽しむ。公爵領の街とは趣きが違うが、侯爵領の街は建物がしっかりと区画整理されておりとても良い景観になっていた。


カーナに会うのは1年半ぶりだったが、変わらずカーナは美しかった。私は会えた喜びで抱きしめてしまったが、優しく受け入れてくれるカーナにまた惚れてしまった。


一つ一つ丁寧に説明する様に文官達も喜んでいる。カーナの邸へと到着すると気を利かせたのか従者がマリアナにお茶を渡していた。


従者にどの茶葉を渡したのかとよく聞くと、レイナが流行りだと好んで私に飲ませている茶葉を渡したのだとか。


媚薬入りなのでは?・・・まさかな。


疑問に思いながらも歓迎会へ出席後、侯爵と2人で話す事が出来た。なり振り構っていられない。


私はカーナを諦めたく無い。


一緒に居たい。王城に連れて帰れないのなら私が全てを終わらせてからカーナの元へ戻ってきたい。カーナと2人で生涯を添い遂げたいと侯爵に話をした。侯爵は苦い顔をしていたが、カーナがアインス様を思うのであればと受け入れてくれた。


後はカーナに話をするだけだ。



 そう思い、夜は遅かったがカーナの部屋へ向かった。カーナは寝衣を着てお茶を飲む所だったようだ。なんて可愛いんだ。


カーナは私に膝枕をしてくれる。頭を優しく撫でてくれるのが心地良い。全ての疲れが無くなる。柔らかい膝、偶に頭に感じる柔らかな胸の感触。あぁ、至福の一時。


そうしている間に私の頭を撫でる指が止まった。カーナをよく見ると顔が真っ赤だ。先程飲んだお茶はやはり媚薬入りだったのか。潤んだ瞳で顔を赤らめ見られると理性が持たないな。


愛している。


カーナをベッドまで運び、用意していた指輪を嵌めた。恥ずかしがり真っ赤に肌を染めるカーナ。



想い合い、愛し合う事がこんなに素晴らしい物だとは知らなかった。


カーナと私の境目が分からなくなるほど絡み合う。カーナの吐息に何度も私は溺れ、恍惚の闇に囚われる。


人生の全てを2日間に注ぎ込んだ。


カーナは待っていてくれるだろうか。私は不安に苛まれながら城に帰る。







「お帰りなさい。視察は如何でしたか?」


「あぁ、無事に終わった。仕事ももう少しすればひと段落するだろう。レイナは子供が欲しいのか?」


私はレイナに聞いてみた。


「ええ、もちろん欲しいわ。私は正妃よ。この国の王妃となるの。アインス様、私が王妃になる時は今いる側妃達とは絶対に離縁して下さいませ。私はアインス様の唯一の、寵姫よ?アインス様の子を産むのは私だけだとは思いますが、自分の子以外は認めたくないの。


アインス様が視察をしている間にあった陛下と大臣達の会議の場で私はしっかりとその事を伝えましたの。


側妃の子なんて考えるだけで汚らわしい。あぁ、王妃となる日が待ち遠しいわ」


そうか、レイナはやはりそういう考えなのか。私は王になれないというのにな。


それから私は強制的に排泄させられる日々が続いた。

拒否してからは媚薬を飲まされ、強要される。感情の乗らない行為から早く逃れたい。


ようやくレイナに子が出来た。


子が産まれるまでの間は閨を拒めたが、王子を産んで3ケ月経たぬうちにまた行為を迫られた。


レイナは産まれた子を一度たりとも抱かずに私を毎日求める。レイナの行動は日々激しくなっていき、私は衰弱していく一方となる。




 王城ではレイナの性欲が奇行として映ったようだ。誰かがナリスタの再来だと口にし始めている。


子が産まれてからすぐに閨を再開したため、レイナはすぐに妊娠し、2人目も無事王子が産まれた。2人とも乳母に世話をされすくすく育っている。


私はというと、衰弱が激しく公務中に倒れてしまったようだ。気が付けばベッドに寝かされていて、半日は眠っていたらしい。医者からは絶対安静と言いつけられた。従者が言うには私が寝ている間、うなされカーナ、カーナと呼んでいたらしい。


それを部屋に押し入ってきたレイナに聞かれたようだ。怒り狂い、寝ている私の頭に花瓶を叩きつけようとして護衛騎士に取り押さえられたのだとか。


事態を重くみた陛下はレイナを後宮へと移し、幽閉をする事を決めた。



王太子への薬物投与、殺害未遂などの罪で本来なら即処刑となるが、跡継ぎを2人出産した事で刑も軽くなる。それでも死刑は免れない。子供達と一度も会うことがないままレイナは病死となるだろう。

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