第14話 アインスside 1

 城では今日もまた大臣達の嘆きが聞こえてくる。


レイナと婚姻した日から望まれる跡継ぎ。私は忙しさを盾にレイナとの閨を拒んでいた。


カーナ。


カーナ以外誰も愛したいと思わない。


カーナが領地に帰ってから花や髪飾り、ドレス等を送ったが全て侯爵から返された。何度も謝り、手紙を書いた。1年が過ぎ、カーナに会えず苛立ちが募る。


ようやく侯爵から赦されるようになってきたが、まだ会う事が許されない。



 いつものように執務を終え、部屋に戻るとレイナが裸で待っていた。


・・・はぁ、そうじゃないんだ。


「レイナ、今はまだ抱けない。ごめん。」


そう言って部屋へ送る。そんな日が続くとレイナは諦めたのか裸で迫ってくる事は無くなった。けれど、ホッとしたのも束の間、飲み物に媚薬を淹れるようになってきたのだ。


我慢出来ず、これには父に詰め寄った。


「レイナも結局ナリスタと変わらんな。正妃になる娘はどこか壊れているんじゃ無いのか?幼い頃からの政略結婚のはずなのだがな。


その点2人の側妃はどうだ。毒の影響もないのに上手く医者に取り入り王城を出てしまった。出てからの活躍がまた目覚ましいな!ワシらの目が節穴だったのだと思い知らされる。正妃になれる娘を無理矢理側妃に落とした罪だ。


アインス、疲れただろう。最近、馬車鉄道なるものが完成したそうだ。休暇を兼ねて馬車鉄道の視察へ行ってこい。しっかり休んだらレイナの事をみてやれ」


 父はそう言ってまた執務を始める。側近のカイザーに馬車鉄道の詳しい話を聞いてみると、今商人の中で大注目なのだとか。


揺れない馬車で2日掛かる道を1日短縮出来るそうだ。しかもその事業を起こしたのがマイアとカーナなのだとか。父は私がカーナの事を好いている事に気づいていたのか。


 カイザーに至急視察に行く事を伝え、側妃達の領地改革に興味のある文官を集めた。事前の打ち合わせでマイアは離縁を願う代わりに国へ技術提供を行なっても良いと回答がきた。


公爵領に残る文官と侯爵家まで共に視察をする文官とともにマイアの領地へと出発。


私達は正直驚かされた。


街の活気にも驚いたが、街の整備も行き届いており、治安が良いようだ。マイアが1人で改革を推し進めたのだとか。マイアから聞くと、馬車鉄道はカーナが発案したのだとか。


カーナに会いたい。


私はカーナを愛しており、カーナを王城に呼び戻したいとマイアに相談してみた。マイアは渋い顔をして無理だろうと答えた。


 侯爵は今でこそ元気になったが、本来体が弱くカーナが女侯爵として跡継ぎとなる予定だった。もう父を残して王城へ行く事はしないだろうと。


そこまで愛しているのなら全てを終わらせてからカーナの所に行くべきだと。


私はマイアの言葉に腹を括る事にした。

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