1.知らずに向かったその先は。
一言。
大谷翔平というジャンルが超えられない(´;ω;`)
あ、おそらく小説家になろうさんの方が先行更新になります。
――――
「えっと、ここを右だな……」
――翌日の放課後。
俺はある場所を目指して歩いていた。
それというのも、鹿央高校から少し離れた場所にあるという小学校だ。河原で声をかけてきた女子生徒――レイナ曰く、そこの子たちに野球を教えてほしい、とのこと。
レイナが何者なのかは、分からない。
それでも、冗談や嘘を言っている雰囲気ではなかった。
だから俺は、彼女の申し出を了承したのである。すべては自分の目標を取り戻すため。そして、先輩たちの青春を完結させるためだった。
「ここ、か?」
そう意気込んで、道なりに進むこと数十分。
俺の目の前に現れたのは、やけに立派な門構えをした小学校だった。私立麗華小学校というそこからは、子供たちの元気な声が聞こえてくる。
グラウンドは校舎を挟んで反対側だろうか。
俺は少しだけ緊張しながら、ゆっくりと足を踏み入れた。
『私の方から、麗華小には話を通しておきます』
レイナはそう言っていたが、いかんせん部外者であることは変わりない。
だから、なるべく早足に目的地へと向かうのだった。
だがしかし、その途中で気になったことがある。
「なんだ……? やけに、女の子ばかりだな」
行き交う生徒。
偶然かもしれないが、目につくのは全員女の子だった。
どういうことだろうか、と。そんな違和感を抱きながら、俺は歩を進めること数分。俺はようやく、目的の場所に到着した。
「あぁ、ここがグラウンド――」
が、しかし――。
「…………え?」
そこで目にしたのは、想定外の光景だった。
俺は思わず、手荷物を落としてしまう。何故なら――。
「……女の子しか、いない…………?」
グラウンドで白球を追いかける子供は、全員が女の子だったのだから。
◆
まったくの予想外。
俺はすぐに、スマホで私立麗華小学校について調べた。
すると表示されたのは、そこが女子だけが通うお嬢様小学校であるという情報。
「マジかよ……」
俺は思わずそう漏らして、頭を抱えてしまった。
てっきり少年野球の監督だと思っていた。もしそれなら、事と次第はより簡単だっただろう。男子相手なら、ある程度の接し方が分かるからだ。
しかし女の子が相手だと、どう受け答えして良いのか分からない。
正直に白状すると、俺はとかく女子が苦手だ。
いや、正確に言えば『扱いが分からない』という感じだろうか。
『坂本くんって、本当に野球ばかりだよね……』
中学時代に、幼馴染から言われたことを思い出す。
あの時のアイツの呆れた表情は、軽蔑にも似た色が浮かんでいた気がする。
そんなわけだから俺はいま、ひどく狼狽えていた。
どうするべきか、ということを必死に考え続けていて――。
「――あの?」
「うわっ!?」
背後からかけられた女の子の声に、思わずビビッてしまった。
驚き振り返ると、そこにいたのは――。
「ひんっ!? す、すみません!!」
小学生にしては、比較的背の高い女の子だった。
栗色の髪に、円らな瞳。少しばかり気弱な性格なのか、こちらが上げた大声に心底怯えてしまっている様子だった。
俺は慌てつつも、なるべく優しく声をかける。
「あぁ、ごめん。少し考えごとをしてて……」
「そうなん、ですか……?」
すると女の子は小首を傾げ、こちらを上目遣いに見た。
そして次に、こう訊いてくる。
「あの、お兄さんはいったい……?」
「あ、そうだった。えっと……!」
それを聞いて、俺はようやく今の自分がただの不審者であることに気付いた。
なので、少し早口に答える。
「実は、今日から野球を教えるように言われてきたんだけど……」
すると――。
「え! もしかして坂本昌磨さん、ですか!」
先ほどまでの弱気はどこへやら。
目の前の女の子は、花のような明るい笑顔を浮かべるのだった。
「あの……! わたし、椎名涼香、っていいます! ポジションは投手です!!」
そして、そう嬉しそうに自己紹介。
少女――椎名涼香は、深々と頭を下げるのだった。
「今日から、ご指導よろしくお願いします!!」――と。
所属してた野球部が廃部になったから、女子小学生野球の監督になった。~え? 彼女たちが優勝できたら廃部撤回、ってマジですか!?~ あざね @sennami0406
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