1.知らずに向かったその先は。

一言。

大谷翔平というジャンルが超えられない(´;ω;`)

あ、おそらく小説家になろうさんの方が先行更新になります。


――――







「えっと、ここを右だな……」




 ――翌日の放課後。

 俺はある場所を目指して歩いていた。

 それというのも、鹿央高校から少し離れた場所にあるという小学校だ。河原で声をかけてきた女子生徒――レイナ曰く、そこの子たちに野球を教えてほしい、とのこと。


 レイナが何者なのかは、分からない。

 それでも、冗談や嘘を言っている雰囲気ではなかった。

 だから俺は、彼女の申し出を了承したのである。すべては自分の目標を取り戻すため。そして、先輩たちの青春を完結させるためだった。



「ここ、か?」



 そう意気込んで、道なりに進むこと数十分。

 俺の目の前に現れたのは、やけに立派な門構えをした小学校だった。私立麗華小学校というそこからは、子供たちの元気な声が聞こえてくる。

 グラウンドは校舎を挟んで反対側だろうか。

 俺は少しだけ緊張しながら、ゆっくりと足を踏み入れた。



『私の方から、麗華小には話を通しておきます』



 レイナはそう言っていたが、いかんせん部外者であることは変わりない。

 だから、なるべく早足に目的地へと向かうのだった。

 だがしかし、その途中で気になったことがある。



「なんだ……? やけに、女の子ばかりだな」



 行き交う生徒。

 偶然かもしれないが、目につくのは全員女の子だった。

 どういうことだろうか、と。そんな違和感を抱きながら、俺は歩を進めること数分。俺はようやく、目的の場所に到着した。



「あぁ、ここがグラウンド――」



 が、しかし――。



「…………え?」



 そこで目にしたのは、想定外の光景だった。

 俺は思わず、手荷物を落としてしまう。何故なら――。








「……女の子しか、いない…………?」






 グラウンドで白球を追いかける子供は、全員が女の子だったのだから。








 まったくの予想外。

 俺はすぐに、スマホで私立麗華小学校について調べた。

 すると表示されたのは、そこが女子だけが通うお嬢様小学校であるという情報。



「マジかよ……」



 俺は思わずそう漏らして、頭を抱えてしまった。

 てっきり少年野球の監督だと思っていた。もしそれなら、事と次第はより簡単だっただろう。男子相手なら、ある程度の接し方が分かるからだ。

 しかし女の子が相手だと、どう受け答えして良いのか分からない。


 正直に白状すると、俺はとかく女子が苦手だ。

 いや、正確に言えば『扱いが分からない』という感じだろうか。



『坂本くんって、本当に野球ばかりだよね……』



 中学時代に、幼馴染から言われたことを思い出す。

 あの時のアイツの呆れた表情は、軽蔑にも似た色が浮かんでいた気がする。


 そんなわけだから俺はいま、ひどく狼狽えていた。

 どうするべきか、ということを必死に考え続けていて――。



「――あの?」

「うわっ!?」



 背後からかけられた女の子の声に、思わずビビッてしまった。

 驚き振り返ると、そこにいたのは――。



「ひんっ!? す、すみません!!」



 小学生にしては、比較的背の高い女の子だった。

 栗色の髪に、円らな瞳。少しばかり気弱な性格なのか、こちらが上げた大声に心底怯えてしまっている様子だった。

 俺は慌てつつも、なるべく優しく声をかける。



「あぁ、ごめん。少し考えごとをしてて……」

「そうなん、ですか……?」



 すると女の子は小首を傾げ、こちらを上目遣いに見た。

 そして次に、こう訊いてくる。



「あの、お兄さんはいったい……?」

「あ、そうだった。えっと……!」



 それを聞いて、俺はようやく今の自分がただの不審者であることに気付いた。

 なので、少し早口に答える。



「実は、今日から野球を教えるように言われてきたんだけど……」



 すると――。



「え! もしかして坂本昌磨さん、ですか!」



 先ほどまでの弱気はどこへやら。

 目の前の女の子は、花のような明るい笑顔を浮かべるのだった。



「あの……! わたし、椎名涼香、っていいます! ポジションは投手です!!」



 そして、そう嬉しそうに自己紹介。

 少女――椎名涼香は、深々と頭を下げるのだった。




「今日から、ご指導よろしくお願いします!!」――と。




 

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所属してた野球部が廃部になったから、女子小学生野球の監督になった。~え? 彼女たちが優勝できたら廃部撤回、ってマジですか!?~ あざね @sennami0406

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