第47話 密談とエレナの苦悩

 部屋に戻った海斗はシャワーを浴びてひと息つくと、フォティアと『対話』をはじめた。


「フォティア、改めてよろしくお願いします」


(うん。かいとよろしく!)


「フォティアは何故ノースヴェルダンあそこの森にいたんですか?」


(ぼく、もりのなかであそんでいたの。そしたらまっくろのふくのにんげんがたくさんいた。みんななにかハリついたのもってこわかった)


「黒い服・・注射器・・・。『スコターディ』が集まってた?」


(じっけんとかもうすぐとかいってたけど、ぼくみつかっちゃっていそいでにげてきたの)


「そっか。あの時フォティアは逃げていたんだね」


(うん。でもいっしょうけんめいにげたから、いつのまにかしらないところにいたの)


「たまたま俺たちのところに辿り着いたんだね。でも俺を選んだのは何故ですか?」


(かいとはやさしいくうきしてた。ぼくかいとのくうきすき)


「空気?『気』のことかな?ありがとうございます。フォティアは俺の初めて契約した妖精です。これからよろしくお願いします」


(うん!かいとよろしく!)


 海斗とフォティアは一緒にベッドに入った。

 視察隊のメンバーは明日から3日間休みとなっている。海斗は明日の予定を考えながら眠りについた。。


 次の日、海斗はゲニウスに会いに行くことにした。


「フォティア、ゲニウスさんに会いたいんですが、行っても大丈夫か聞いてきてもらっていいですか?」


(ゲニウスさま?わかった!いってきます!)


 フォティアは元気よく王宮の屋上へ向かって飛んでいった。


ーーーー


(よく来ましたね海斗。レベルも上がって契約もできたみたいですね)


「こんにちはゲニウスさん。昨日初めて契約したフォティアです」


(フォティアですか。いい名前ですね)


「この前お話していただいた高祖母のエレナさんのことですが、何故『モロノーフここ』を離れたんですか?」


(エレナは有能が故にその力に嫉妬する者や命を狙う者などが少なからずいたのです)


「この世界にもそんな危険があったんですね」


(今は落ち着いていますが、昔は『黒衣の軍団』という者たちが『モロノーフ』で猛威を振るっていました)


「『黒衣の軍団』?」


(現在は『スコターディ』といいます。エレナは自分の存在が争いを生んでいることに耐えられなくなって『モロノーフここ』を出ていきました)


「そうだったんですね。ゲニウスさんは森の魔獣の異変について何か知っていますか?」


(人為的ながあると感じます。最近『スコターディ』の動きも活発化しているのも関係があるかもしれませんが、それに関してはアルフロードも動いてますから心配いりません)


「でも、一角獣ユニコーンから俺が狙われているかもしれないと言われて。なんで俺が・・・」


(エレナの血を受け継いでいることに気づいた何者かが海斗を狙っている可能性はあります。しかしどうやって知ったかがわかりません。いずれにしても気をつけてください。私も警戒しておきます)


「わかりました。俺も強くなって自分の身を守れるよう頑張ります」


(そろそろ時間です。また会いましょう)


「はい。ありがとうございました」


 海斗の背中を見送ったゲニウスは、青く澄んだ空を見上げて目を細めた。


(エレナ、また争いが始まろうとしています。あの時貴方を護れなかった私が、海斗を護れるでしょうか)


 どこからか風に乗って鳥の鳴き声が聴こえたきがした。



 ゲニウスと別れた海斗は第2演習場で自主練をはじめた。基礎体力を付けるトレーニングと基本の剣術をひたすらに繰り返し、夜はフォティアと『対話』をする。それを2日間続けた。

 その甲斐あって体力は平均くらいまで上がり剣術もなんとか様になってきた。

 休みの最終日はキッドに剣術の訓練をつけてもらい、実践形式での剣術も教えてもらった。


 そして久しぶりにステータスの確認をしてみると大きく変化していた。


名前:志麻海斗


年齢:18歳


種族:人間


性別:男


誕生日:2月14日


レベル:38


知力:53


体力:78


霊力:92


コミュニケーション力:145


契約獣:妖精×1種 1匹

    火×1


 海斗が『モロノーフ』に渡ってきてはやくも2週間が過ぎていた。

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