第46話 協力者たち
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「ゼノンさん」
陛下への報告を終えたゼノンを渡瀬は呼び止めた。
「ああ、繋。悪いがちょっと忙しいんだ」
「ロイさんから報告が届きましたか?」
「ああ、厄介なことになりそうだ」
「エリックさんにも調べていただいてます。恐らく予想通りかと。」
「ソレを『スコターディ』に渡して異変を起こさせた。この件は黒師団が調査することになった」
「ではロイさんたちは帰ってくるんですね」
「明日には戻るだろ。『スコターディ』が誰からソレを渡されたのかがわかればいいが」
「顔を見せている可能性は低いと思いますが、何か新しい情報が上がったら教えてください」
「わかった。それと海斗が狙われている可能性がある」
「それはどこ情報ですか?」
「海斗が助けた
「・・・そうですか。一度集まって話したいですね。」
「そうだな。繋も気をつけろよ。じゃあな」
「はい、また」
ーーーー
ーカランカランー
「いらっしゃーい。あっ昨日ぶりだねぇ繋ちゃーん」
「こんにちは。結果はどうでしたか?」
「んーと、コレね。結果から言うと予想通りだったよ」
「やはりそうでしたか」
「テトラヒドロカンナビノール、大麻草の主成分。でもカンナビジオールは出なかったんだよねー」
「それはどういうことですか?」
エリックはいつものゆるゆるな雰囲気とは真逆の、真面目なトーンで話しはじめた。
「大麻草の成分なんだけど、この成分はリラックス効果とかあって向こうでは違法ではなかったと思う。テトラヒドロカンナビノールだけ出たってことは、誰かがその成分だけを抽出して注射器でブスッとしたということだね」
「恐らく魔獣にその成分を注射した人と成分を用意した人は別ですね。黒師団が動くそうなので注射したのは『スコターディ』の一員でしょう」
「そうだろうね。そしてソイツに渡したのが・・」
「全ての黒幕です」
「内部調査の方はどう?お兄さんから連絡あった?」
「いえまだ。手こずっているみたいです。ですが『
「そう。失敗したことで自棄にならないといいけど。海斗くんのことも気をつけていないとだね。まぁ護衛なのか監視なのか付いているみたいだから大丈夫だと思うけど」
「そうですね。・・近々集まって話したいと思っています」
「そう。確かにお互い一度くらいは顔合わせておかないとだしね」
「また決まったら来ます。では」
「ばいばーい」
ーカランカランー
「テトラヒドロカンナビノール、THCね。また厄介なモノを持ち込んできたねー。・・・次は絶対に守らないとね」
ーーーー
「こんにちは。クレメンスさん」
「こんにちは。繋さん」
応接室で向かい合って座った2人は、
「さっそくですが、どうですか?順調ですか?」
「まあまあかな。探すのも大変だからね」
「それでもこの短期間で出来てしまうのはクレメンスさんくらいです」
「買い被りすぎだよ。そっちはどうだい?」
「黒幕はまだ掴めていません。ですがノースヴェルダンでの魔獣の異変についてわかったことがあります。異変を起こしたホワイトウルフの血液を調べたところ、この世界にない成分が検出されました」
「それは
「はい恐らく。そして持ち込んだのは・・・」
「僕たちが探している黒幕ってことだね」
「はい。異変の方は黒師団が引き継いで調査をするそうです」
「今はまだノースヴェルダンの方だけど、いつほかの町や王都に迫ってくるかわからないな」
「こちらも準備をしておかないとですね」
「そうですね。子どもたちにも森には1人で行かないよう言い聞かせておきます」
「お願いします。近いうちに一度集まって話したいと思っています。その時はお願いします。何かわかったらまた報告に来ます」
「わかりました。繋さんも気をつけてください」
「ええ、ありがとうございます」
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