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シヨゥ

第1話

 日は空高く、目の前の平原を照らしている。

 ザックを背負い込み一歩目を踏み出した。

 僕は運び屋だ。ザックには隣町への荷物を満載している。

 隣町との距離は歩くような距離ではない。だが、ガソリン車が買えるほどまだこの土地は潤っていない。

 だから僕のような運び屋が重宝されている。いずれは淘汰されるであろう職業であることは分かりながらもこの仕事を続けていた。

 仕事への不安も、長距離を歩く不安も胸にある。だが、足裏に感じる大地の感覚を意識するとそれは不思議と薄らいでいく。さらに呼吸のリズムにも意識しだすとそれはほぼゼロなった。


 不安をから逃げるように五感に意識を集中させて無心で歩く。

 そのうちに日が陰りだし、その日の終わりを告げだした。

 暗くなる前に焚き木を組み上げ火を付ける。テントも組み上げ今日は終わりだ。

 夕食を終え横になる。すると動いていないからか不安が蘇ってきた。

 だから今に集中する。「横になって気持ちいい」と頭の中で繰り返した。

 すると不安は鳴りを潜め、心は穏やかになる。

 疲労感からかすぐに眠気がやってきてその日が終わった。


 今日も歩き続けていた。

 相変わらず不安はある。だが、今に目を向ければどうってことはない。

 将来の不安はその時がやってきたら考えればいい。どうせ人間なんて慣れてしまうのだから。

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