第6話

「おじゃましまーす」

「どうぞ。上がって」

「はーい」


真琴は腰を下ろす。


僕は真琴に、5万渡した。


「なにこれ?」

「とりあえず、当面の必要なものを買ってこい。

部屋は用意しておく」

「正くんと、一緒でいいよ」

「だめ」

「ケチ」

「そういう問題ではない」


僕の両親が経営しているこのアパートは、かすみ荘

ありがちな名前だ。

2LDK


かなり贅沢なつくりと思う。


真琴は、僕の机に眼をやる。


「正くん、漫画家?」

「いや、それは趣味で描いているだけだ」

「どうして?絵上手いよ」

「でも、ビジネスには、向いていないらしい」

「読んでいい」

「いいよ」


真琴は、まじまじと見る。


「うん。確かに絵は上手いけど、話がいまいちだね」

「はっきり言うな・・・」

「お世辞がよかった?」

「いや、それでいい」


もう、遠い夢だ。


真琴は何かを考えているようだった。

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