第52話 対策

 一気に二人、ハナコとツヨシが脱落した。

 いつ誰が脱落してもおかしくない。

 アラタたちは気を引き締める。

 ここはカフェ。ロイヤルパルス。冷房のおかげですずしい。

「熱心だな。アラタ」

「いえ。そういうわけじゃ」

 今日はアラタの仕事は休みだ。そして今日、コハルはいない。思う存分カンサについての話ができる。

「今回は、運よく生き残れたけど」

「次はどうなるか、な」

 ネネとササメは、不安そうな表情を見せる。

 気を引き締めたからといって、何か特別なことをするわけではなかった。筋力トレーニングをしても何も変わらない。

 ソウオン対策に乗り出すアラタたち。

「だから、まずはあいつからだろ」

「そうね」

「わらわに、もっと力があれば」

「オレは、用事がある」

 黒い服のミズチは、病院へと向かった。

 アラタが目で追う。すぐに、ネネとササメのほうを向いた。二人はそれぞれ決意を秘めた目をしていて、頼もしさすら感じる。

「ロウケの力が手に入らないなら、戦って強くなるしかないよ」

「同感、といったところか」

 ネネの言葉に、ササメが同意した。

 お互いにカードを出し、構える二人。

「実戦あるのみ。カンサ・マーチ!」

「うむ。ゆくぞ。カンサ・ジュラ!」

 カンサバトルを始めるネネとササメ。

「あーっ。また、店が」

 もちろん、イマジン空間が広がっている。

 壊れた店は戦いをやめれば元に戻るので、心配ない。それでも、アラタは気が気ではないようだ。


 むせかえるような熱気ただよう、駅前の広場。

 日は高い。暑さのピークまであと少し。そのため、歩いている人は少なめ。

 といっても、ここは都会だ。肩がぶつかるくらいには人が歩いている。

 カードを取り出し、カンサを呼ぶソウオン。

「食らうぞ。カンサ・エイプ!」

 イマジン空間が広がる。

 紫色に染まった人々は、ソウオンのほうを見ていない。呼び出されたエイプのほうも、誰一人として見ていなかった。

 イマジン空間の紫も、カンサも、普通の人には見えないのだ。

 そして、ソウオンは何もしなかった。腕組みをしている。

 カンサ・エイプも、同じく腕組みをしていた。

 やはり、何もしない。

 またも、マモノがたくさん現れるのを待っているようだ。

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