第45話 夏のプール

 どうにも暑い。

 プールへ行くことになったアラタたち。

 一緒に向かう四人。アラタとミズチと、ササメとネネ。

 着いた場所は、屋内プールだ。

 いったん分かれて水着になる面々。

 ネネは、フリルのついたかわいらしい水着。ササメは、なぜかスクール水着のような地味な水着だった。紺色。

 合流して、ワイワイと泳がなかった。

「カンサロウケとは、なんなのだ」

「おれは、マサトにたくされただけだから」

 ササメは、アラタに食い下がる。あまり豊かではない胸元を、アラタがちらりと見た。

「いや。何か秘密があるとみた!」

「って言われても、な」

「教えんか。兜山かぶとやまアラタ!」

 そう言われても、教えられることはなさそうだ。アラタはただ困惑するばかり。

 ネネはミズチに聞く。

「どうなってるの?」

「何がだ」

「ロウケだよ。カンサロウケ!」

「知らん」

 ミズチはそっけない。

 それでも、ネネは諦めない。豊満ほうまん身体からだを近づけて、根掘り葉掘り聞いていた。

「ぜったい、なにか秘密があるって」


 プールからの帰り道。

 ハナコとツヨシがやってきた。

「ごきげんよう」

「美しい方々とほか二名。お元気ですか?」

 当然といった様子のササメ。

 ネネは、言われ慣れていないのか微妙な表情。きょろきょろしている。

 アラタは黒髪を逆立てるようにして憤慨ふんがいする。

「なんだ、その言いかたは」

 黒い服のミズチは冷静だ。

「疲労したところを狙ってきたか」

「心外だな。正々堂々、勝負だ! カンサ・ディッセ!」

 ツヨシがカンサを呼び出した。

 両手にそれぞれカードを持つアラタが、カンサロウケを呼び出す。

「カンサロウケ・ジャニュ!」

 イマジン空間が広がっていく。紫色に染まっていく周辺。長時間空間を開くとマモノが現れてしまうので、できるだけ早くケリをつける必要がある。

 戦いが始まった。

「あなたは戦わないのかしら?」

 ハナコの狙いは、ミズチ。安い挑発で、注意を向けさせることに成功したようだ。

「いいだろう。かかってこい」

 二人がカードを構える。ミズチは、両手にひとつずつ持っている。

「いくわよ。カンサ・ノーベン!」

「カンサロウケ・フェブ!」

 カンサとカンサロウケが現れた。

 もう一組の戦いが始まる。

 ネネとササメは戦う気がない様子。観戦していた。

「頑張って」

「頑張らずとも、余裕」

 カンサロウケは強い。

 派手な音が鳴りひびく。攻撃で、周りの建物がどんどん壊れていく。

 ツヨシとハナコは追い込まれていった。

 ミズチが追い打ちをかける。

「これが、カンサロウケの力だ!」

「くっ。もはやこれまで」

「右に同じ」

 カンサをしまい、しっぽを巻いて逃げかえる、ツヨシとハナコ。

「ちょっ。待てよ」

「とどめは刺せなかったか」

「とどめは刺させないぞ。戦いをやめさせてやるからな!」

 戦闘時間が短かったため、マモノはいない。

 アラタとミズチもカンサロウケをしまい、イマジン空間が消えていく。

 もちろん、壊れた建物は元に戻った。

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