第43話 さらなる力

 戦うネネとササメ。

 もちろん、イマジン空間が展開している。公園も含めて、周りは紫色。そのなかで、よっつのかたまりがカラフルな色をしていた。

「そこよ! マーチ!」

「させるか! ジュラ!」

 そこに、誰かがやってきた。二十代半ばに見える、キザったらしい人物。

「戦いはワタシに任せてください」

 ツヨシだ。

「誰?」

「アラタの言っていた」

新条しんじょうツヨシです。美しい方々」

「なっ」

「当然のことを言うな」

 驚くネネとは違い、ササメは落ち着いていた。さも当然といった風に。

「いでよ、カンサ・ディッセ!」

 二人の戦いに割って入るツヨシ。二体のカンサを相手に戦い始めた。

 そこへ、ミズチがやってくる。

「お前が、最後の参加者か」

「そう。ワタシは――」

「誰でもいい。ここでケリをつけてやる。カンサ・フェブ!」

 3対1になったところで、さらに乱入者がやってきた。

地獄じごくふたは開いたようだな」

 ソウオンだ。舌なめずりをして、獲物をみつくろっている。おもむろにカードを取り出した。

「食らいつくせ! カンサ・エイプ!」

 周りの建物が壊れていく。


 マモノが現れた。カニのような見た目。

 イマジン空間を長く開くと、マモノが現れてしまうのだ。

 ソウオンは、マモノを放置してカンサをひたすら狙っている。エイプがフェブに蹴りかかった。

「させん!」

 ミズチの操るフェブが、寸前でかわす。お返しの縦斬りは、やはりかわされた。

「先にマモノから倒すべきだろうに!」

 意外に常識的なツヨシが言った。ディッセが、エイプに斬りかかってよけられる。

「へぇ。意外にマトモじゃない」

「同感」

 ネネに、ササメが同意した。

「面倒なことになる前に。分かってるな?」

 ミズチが言って、三人がうなずいた。やることは、話し合わなくても決まっていた。

 四人がかりでエイプを狙う。

「てめぇら!」

 さすがの乱暴者らんぼうものも冷や汗をかいた。なんとか攻撃をいなし、距離をとる。だが、そこまで。反撃の糸口はなかった。

 たまらず退散するソウオン。

 一件落着とはいかない。まだカニのようなマモノがいる。

 強く育ったカニのようなマモノに対する、四体のカンサ。

「ラストアーツ!」

「ラストアーツ!」

 一点突きとホーリークロスが命中。しかし、カニのようなマモノは倒れない。

「なんと」

「なんだと」

 驚くササメとツヨシ。

 このままでは、多くの人々が体力を奪われてしまう。

 その中には、妹もいるかもしれない。ミズチの目に炎が宿る。両手が熱くなった。

「させるか!」

 左手が光りかがやいた。

 かがやきがおさまると、そこには、ロウケのカードがあった。

「カンサロウケ・フェブ!」

 ロウケのカードを使ったミズチ。ハイパフォーマンス化されたカンサが、さらなる強さを見せる。

 重々しい鎧から、軽そうな見た目の鎧へと変化したフェブ。

「それは」

「ロウケの力よ」

「なんだと。いったいなんなんだ」

 ツヨシはわけが分からない様子。額に手をつき、おおげさに首を振った。

「わらわをさしおいて」

 ササメは、悔しがっていた。ミドルヘアをかきあげる余裕もない。

「ラストアーツ!」

 縦一閃。唐竹割からたけわり・改で、カニのようなマモノを撃破するフェブ。

 大爆発が起こる。

「なんと」

 ツヨシだけが驚いていた。誰もリアクションしていないのを確かめると、短く息をはき出す。頭をかいた。

 カンサとカンサロウケをそれぞれがしまい、イマジン空間が消えた。

 壊れていた建物も元に戻った。

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