第4話 デート

出掛ける当日。


私達は待ち合わせをする。


中常君の運転で出掛ける事となった。


久しぶりに異性と2人きりで外出。




「俺が勝手にデートプラン考えたんで、江嶋さんが楽しめたら良いんですけど」


「えっ?デ、デートプランって…」


「えっ?ある意味デートでしょう?」


「そ、それはそうだろけど…別に付き合っているとかじゃないし…」


「じゃあ今日は名前呼び合いましょう?」


「えっ!?」


「今日は仕事の関係は一切抜きにしましょう!」




私達は、お互い下の名前を呼び合う事にした。



“早姫さん” と “荘君”



会話も時々、敬語だったりタメ口だったりして色々な変化があるけど、私達は楽しい時間を過ごしていた。


ただ、何故私を誘ったのかは分からないけど…




「早姫さんって…可愛いですよね」



ドキッ



「えっ?」


「純粋って意味で。ギャップがあるんですけど…」


「そ、そう?自分では、そんなつもりないんだけど…そう見えるのかな?」


「後、早姫さんって…異性に対して何処かよそよそしい気がするんですけど…」


「…それは…」


「すみません。若いから何かもったいないっていうか……」




「若いって…若くないよ。私、30超えてるし、バツイチだから」


「えっ?やっぱりそうだったんですね」


「えっ?」


「いや…話は聞いていたんですけど…本人の口からきちんと聞きたかったんで。俺、噂話とか、ありもしない事を陰で言う人許せないから。だって、噂とかって本人の知らない所とか勝手に言われているのがほとんどだし」


「荘君…そっか…」


「早姫さん、もう少し時間良いですか?」


「えっ?あ、うん」




向かった先は、とあるマンションだった。




《マンション?》

《ちょっと待って…まさか…ここ…》



「すみません。早姫さんと、もう少し2人きりになりたくて」


「そうか…」


「すみません!あの、気が進まないなら送ります。別に何するとかじゃなくて本当2人きりになりたいって純粋に…」



「クスクス…」



かなり焦っているのが伺える。



「驚いただけだから」




とは言ったものの不安はあった。



別に荘君を疑う訳じゃないけど…




私は荘君に案内され、部屋に移動する。


他愛もない話をしながら時間を過ごす。


そして、お互いの恋愛話になり、荘君は容姿で言い寄られる事ばっかりだった事を聞いた。


確かに荘君はイケメンだ。


それなのにみんなに対等でムードメーカーで申し分ないんだけど…


好きになったら、一途に想い過ぎて独占欲強くて…





独占欲?


つまりそれって嫉妬深い?


どれ位かは分からないけど、私的には、その方が愛されてる感があって逆に良い。


今までそういう相手に会った事がないから尚更だ。


その後、その彼の態度に嫌気が差して去っていく人ばかりだったという。


結局、俺は容姿だけで中身まで受け入れてくれない事が自分の存在って…それだけの価値なんだと…




「早姫さんは?結婚してバツイチになった理由だけじゃなく何か心に秘めているんじゃないんですか?」


「…えっ?…私は…」


「…すみません…」


「…ううん…私は……。…荘君…引くかも…」


「ええっ!?まさか、男騙しまくったとかじゃないですよね?だとしたら、俺、恋愛する気失せますよ!」


「えっ!?恋愛する気失せるって…」


「いや深い意味ないですけど、早姫さんの人間性疑います」




私は勇気を出して話をした。


嫌われるかもしれない。


そう思いながらも……




「………………」




スッと片方の頬に触れられる。



ドキン




「荘…」



キスされた。




《えっ!?》




ドン


押し退ける私。




「…帰る…っ!」

「…待って…っ!」

「ノコノコついて来た私も悪いけど!…ごめん…」




私は背を向ける。



「…すみません…早姫…さん…。そんなつもりはなくて…えっと…」




私は振り返ると笑顔を見せる。




「今日はありがとう…お邪魔しました」




私はそう言うと部屋を出て行き始める。



ドアノブに手をかけると同時に背後からドアノブの手に別の手を重ねられ、別の手が背後からふわりと抱きしめられた。



「…早姫さん…」



ドキン



「気…悪くしたなら謝ります…夜道は危険です。必ず送るから帰らないで欲しい…」




ドキン



振り返らせると抱きしめられた。




「早姫さん…これだけは言わせて下さい…。俺…あなたが好きなんです」




ドキン



「えっ?」

「2人きりになりたくて出掛ける口実作って…」




抱きしめられた体を離す。



「初めて会った時から好きでした」



ドキン



《…嘘…》



「誰からも信頼されてて面倒見良くて…気づいたらもっと仲縮めたくて仕方がなくて…だけど…職場じゃ2人きりになるチャンスなんてないし…色々話したくてもタイミングないし…それに…俺が歩み寄れば早姫さん壁作って離れて…何処か距離感がある気がして…」



「………………」



「だけど…今日、早姫さんが壁作っている原因がバツイチだっていう事と離婚に至るまで色々あった事を知って…」


「…荘…君…」


「ゆっくりで良いから俺を信じて俺に心開いてくれませんか?もっと歩み寄って欲しい…早姫さん…駄目ですか?」


「…どうして私を?年齢差だってあるのに…」


「出逢うのが遅かっただけです。年齢差なんて関係ないですよ。だって俺…早姫さんの事、遠くから色々な部分を見てきて、あなたを知る度にどんどん惹かれて…お互い本当に信頼しあえる相手…俺達を必ず出逢わせる為に遠回りさせられたんですよ」





「………………」




「俺…早姫さんに自分の人生預ける覚悟で2人の時間過ごしたいし、もっと早姫さんを知りたいです!」




ストレートに自分の想いをぶつけられた。


若いからなのか、性格なのか……




「早姫さんの今の正直な気持ち教えて欲しい」


「…私は…」




自分の気持ちに嘘はない。


彼の真っ直ぐな想いが凄く伝わった。




「…好き…だよ…」


「…えっ…?」


「気付けばあなたが…」




ぐいっと再び抱きしめられた。



ドキッ




「良かったぁ~」

「えっ?」

「俺、嫌われてんのかと…」

「嫌う?どうして?」

「まあ、大体の状況は離婚に至るまでの恋愛関係があるって分かったけど」


「…それは…」

「…やっぱり、想いは伝えなきゃ伝わらないですよね」



抱きしめられた体を離す。



「荘君…」


「職場では余り話す事は出来ないけど、こうして2人の時間を大切にしていけたらと思います。だから、遠慮しないで言って下さい!気軽に連絡して下さい!」


「…ありがとう…荘君…」


「…送ります」

「えっ?」

「えっ?って…外泊しますか?別に俺は構いませんけど」


「か、帰ります!」

「分かりました」




私は帰る事に送ってもらう。


車内で色々話をしながら、ほんのちょっと、一歩進んだ距離感をお互い感じながら……。







~ E N D ~















































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2人の距離感~本当は好きなんです~ ハル @haru4649

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