第2話 出逢い
そんなある日、私の職場に一人の異性が現れた。
新人の指導や面倒、世話などは私にいつも回ってくる。
「よろしくお願いします」
「うん。よろしくね」
その後、彼は成長したものの、これからって時に家庭の事情により数ヶ月して会社を辞めてしまった。
その数ヶ月の間で、私は彼の優しさに、いつの間にか好意を寄せていた事に気付く。
ドキドキしたりする自分がいたのだ。
『恋!?』
私は自問自答した。
正直認めたくなかった。
だけど……
彼を目で追ったりしている自分がいたのだ。
気付けば、辞める1ヶ月前の短い間、自分の想いに気付いた時、
「俺、家庭の事情で辞めるんですよね」
「えっ!?」
突然の事に驚きを隠せず、平然ぶりを保つのには苦労した。
彼が辞めると分かった時、私は自分の想いを伝える事にした。
だけど……辞める数日前、好きとかではなく、気になっていましたと言う想いだけを告げ、彼と別れた。
本来なら、告白して付き合っていくとか連絡先を交換したりして仲を育むべきだったのだろうけど、
私はバツイチ。
子供もいるし……
そう考えたら、それ以上は望まなかったし望もうと思わなかった。
自分の恋に、終止符ーピリオドー打つ為に……
私はしばらく仕事に専念する事にした。
そして、数ヶ月後……
また新しい新人が来た。
私くらいの年齢になると、年の近い人なんてくるのは少ない。
別に期待するわけではないけど……
今回は20代前半の異性だ。
彼の名前は、
中常 荘(なかつね そう)。21歳。
「よろしくお願いします。手取り足取り教えて下さい」
「手取り足取りって…」
「冗談ですよ」
「分かってます」
彼を指導し面倒見ていく中、誰にでも対等で明るい彼。
チャラっぽいけど、ムードメーカーで、今までに会った事のない相手だ。
無邪気にじゃれ合う仔犬を思わせる。
それにかなり私を弄ってくる。
35歳で21歳という10歳下の異性に弄られるなんて思いもしない。
「あのねー!本当、弄るの辞めてくれるかな?」
「だって面白いから」
「お、面白いって…私はオモチャじゃありません!」
「クスクス…そんなムキにならなくても。江嶋さんって面白いですね。ムキになる所も可愛いですよ♪」
ドキッ
良い年して胸が大きく跳ねてしまった。
「か、可愛いって…」
かあああ~~
「うわっ!その反応って…どれだけ純なんですか?」
「う、うるさい!ち、違うからっ!」
私はからかわれていた。
その後、中常君は私をからかい弄ってくるようになっていた。
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