2人の距離感~本当は好きなんです~

ハル

第1話 人生いろいろ

私の名前は、江嶋 早姫(えとう さき)。35歳。


彼氏は、いない。


もう数年は経っているし、正直、欲しいとは思わない。



「早姫さん、これ、どうすれば良いですか?」


私の後輩の女の子が、私に尋ねる。




「あ~これはね…」



普通の、OLして、約10年。


今じゃ沢山の後輩に恵まれている。


ここの会社では、私が一番長くて、ある意味お局様。



周囲は、きっと私の事を陰ではそう言っているかもしれない。




「分かりました。ありがとうございます!」

「いいえ」




そして、1日の仕事を終え帰宅する。



「ただいま」

「あっ!ママ、お帰り」



18歳の娘の美鈴(みすず)。


高校を無事に卒業させバイト三昧の娘と2人暮らしをしている。


何故か?って…?


恥ずかしい話、私は30代にしてバツイチなのだ。


実は結婚を一度失敗をしている。


協力性がなく、仕事をしない旦那に愛想尽かし離婚を決意。


離婚に至るまでは色々あった。


バイト掛け持ちして今思えば体を壊さなかったのが不思議な位だ。


正直、体は無理をしていたのだろうと思う。


中でも恋愛含む異性に関しては色々あった。


自分の心と身体はボロボロだったのに違いない。



親戚のツテで始めた仕事。


毎日じゃなかったけど、体力勝負の仕事。


周囲は、ヤバイ人達ばかりだったけど良い人ばかりではあった。


だけど、それには別の理由があったと思われる。


親戚の人が周囲に止めていたのもあるだろうけど、私は一人の異性から、かなり言い寄られていた。


俺の女!そう周囲にも言っていたのだろう。


身体の関係があったのだから。


それに家庭の事情も知られていた私。


今思えば、ある意味、その相手に弱味を握られていたのもあると思われる。


親戚の人と行動していたのもあり、いつも親戚の彼女同伴で呼び出され、言い寄られていた相手との身体だけの関係。


正直、行くのも会うのも億劫になっていた。


私は何の為に生まれて来たんだろう?と、その時はいつも思っていた。


その関係がしばらく続き、縁が切れた時、別のバイトを始め出会った相手。


告白されたかと思っていた矢先、身体だけの関係だった事が明らかになった。


私自身も隙があり過ぎたのだろうと思う。


旦那とうまくいってなかったのもあったから。


精神的にも滅入っていたのかもしれない。


だけど、気付かない私も馬鹿だ。


自分を責めた。



その後、引っ越しをし、子供を実家に連れて帰りしばらく旦那と距離を置く事にした。


そして、旦那が要約仕事を始めた事が分かり、実家から出て、一緒に住む事になった。


だけど、再び旦那は仕事を黙って辞めてしまっていた。


私は再び、バイトの掛け持ち。



そんなある日、以前住んでいた近所の知人というか友人というか顔馴染であり、自分の子供みたいに面倒を見てくれていた異性が突然、現れた。


勿論、旦那の顔馴染みでもある。


娘も懐いていたから尚更、安心していたけど、そんな中、相変わらず働きそうにない旦那。


離婚をする事となり、それと同時に親のツテで引っ越しをする事となった。


だけど、これがまた事件の発端となった。



実家の親も顔馴染みになっていて、引っ越し先を実家の親は教えていた。


そうとは知らない私達親子。


勿論、子供も懐いていたし、私にも良くしてくれていた相手。


だけど、これが後にその異性の行動が徐々に私達親子を悩ませた。


ある日、私に身体の関係を求める要求をしてきたのだ。


何度も何度も何とか断りをしていたものの、ある日、私の唇は奪われてしまった。


その前からバイト先まで送迎するからと言いその異性は朝から晩まで家に来ては入り浸りしていた日々。


夜の迎えなんてドライブがてら毎日連れ回されていた。


仕事で疲れている私は睡眠不足に悩まされ、自分の時間もなく、私が休みの日なんて1日中、その異性が家にいて私は監視されてる気がしてならなかった。


徐々に、彼の行動に実家の親も不審に思い始めていた。


この時もまた精神的に私は滅入ってしまう。


身体の関係になる事はなかったものの、私の唇は常に強制で奪われていた。




その後、ある事がきっかけで、その異性との関係はなくなった。


再び引っ越しをしたからだ。


要約、普通の生活を戻しているけど、正直、私の心は恋愛したいという気分にはならない。


再婚なんて尚更だ。


私は異性に対しての疑惑を抱く。


違うって分かっていても、私の心はブレーキがかかる。


抵抗があるのだ。


若いからって…言われ恋愛したら?って周囲に言われるけど……


しばらくは良いかな?と思っている。




私達は食事をする事にした。


「ねえ、ママ」

「何?」

「もし再婚するなら、どういう人を選ぶの?」

「えっ?急にどうしたの?」


「ねえ、顔重視?性格?」

「私はしばらく彼氏とか欲しいとは思わないわよ」

「えっ?若いんだからもったいないよ」

「みんなそう言うけど、今まで色々あったしバツイチなんて相手する人いないわよ」

「そんなの関係ないって!」


「私は関係あるの!」

「それってママが壁作ってんだよ~」

「作りたくもなるわよ」

「今はバツイチなんて普通だし再婚だってするし。年の差の恋愛とか。良いと思うよ」




私達は色々話をしながら夕食を済ませた。










































































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