第9話

ここがどういうところなのか、段々とわかってきた。

部屋に戻るとまたユウジさんとしばらく話をすることにした。

「ユウジさん、外には出れないんですか?」


「ここは閉鎖病棟だから出れないな。」


「どうやったら外に出れるんですか?」


「外出とか、あと開放病棟に行くとかだな。」


「ユウジさんは何の病気なんですか?」


「糖尿病ってあんだろ?あれだ。」


「何もすることもないし、一緒にテレビでも見るか?今甲子園やってるぞ。」


ユウジさんに誘われたのは良いが、周りと接触するのに臆病になっていた俺にはその術は無く、

「いや、良いです。部屋にいます。」

何もすることがなく、手持ち無沙汰な状態だった。

廊下からは色んな声が聞こえてきた。

喧嘩になりそうな言い合いや、看護師さんがその仲介をする声、女性の気分の良さそうな大きな歌声。


賑やかさは嵐のようにやってきて嵐のように去っていくから、充実してるように思えて、とても退屈だった。


部屋の向かいはユウジさんなんだけども、隣はお菓子をボリボリ食べながらラジオを聴いていた。


そうして、一日は過ぎて行った。


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