第9話
ここがどういうところなのか、段々とわかってきた。
部屋に戻るとまたユウジさんとしばらく話をすることにした。
「ユウジさん、外には出れないんですか?」
「ここは閉鎖病棟だから出れないな。」
「どうやったら外に出れるんですか?」
「外出とか、あと開放病棟に行くとかだな。」
「ユウジさんは何の病気なんですか?」
「糖尿病ってあんだろ?あれだ。」
「何もすることもないし、一緒にテレビでも見るか?今甲子園やってるぞ。」
ユウジさんに誘われたのは良いが、周りと接触するのに臆病になっていた俺にはその術は無く、
「いや、良いです。部屋にいます。」
何もすることがなく、手持ち無沙汰な状態だった。
廊下からは色んな声が聞こえてきた。
喧嘩になりそうな言い合いや、看護師さんがその仲介をする声、女性の気分の良さそうな大きな歌声。
賑やかさは嵐のようにやってきて嵐のように去っていくから、充実してるように思えて、とても退屈だった。
部屋の向かいはユウジさんなんだけども、隣はお菓子をボリボリ食べながらラジオを聴いていた。
そうして、一日は過ぎて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます