第30話   嵐の中

やむを得ず、嵐に突っ込んでいく

「帆を畳め、船内に入れ」

と慌ただしく動く

「今風はどこから来てる」

「東の風です」

「とーりかーじ」

「何故?」

「風が東なら船首を東に段々南に向けて最後は西向きに船首を向けるのだ、今から三刻が勝負だぞ」

「了解」

「アイチさま波がすごく高いです、飲み込まれそう」

「トウカ、これが欲しかったんだろう。しっかり楽しめよ」

上がったり、下がったり

ジェットコースターを何時間も乗っている気分だ

「波を避けるな、横っ腹当てられるなら突っ込め」

「全速前進」

「波に乗れ、波に」

いやいや、難しから余り体験してないからね

とヘルメスは心でつぶやく

「とーりかーじ、もどーせ、おもーかーじ、もどーせ、おもーかーじ、もどーせ」

と指示を出して行く波の合間や、波の上時には波の中を突き抜けて行く

上がる時はカベを登っているかの様に登り、降りる時は真下に落ちるかの様に進む

一番下に来れば打ち付けられる様な衝撃がある

サギハーン達は海に潜ると騒ぐ

確かに海の底の方が穏やかかも知れない

クソー天狐が居れば天候変更させるのに

波が甲板を叩きつけ波が甲板を流れて行き

しかし、もとっとやりようがあったのではと思うヘルメスはアイチを睨む

三刻の予定が四刻も台風の中格闘した

船には多少のキズや破損はあるものの特に走行に支障はない

他の乗組員は疲れたのか皆んな寝ている

トウカは凄く元気、女性は絶叫マシンとか好きな子が多いと聞くがトウカは正にそれ

揺れている間は怖いだの助けてだの発狂だのと騒いでたくせに凪いだ瞬間にもう終わり?

だって

びびらしてもう船に乗りたくなくなりました作戦此処に失敗しました

乗組員のみなさん、言わないけどこんな事に付き合わせてすみません

さあ帰ろう

「おもーかーじ」

「面舵」

「もどーせ」

「戻せ」

「よーそろー」

「ヨーソロー」

と操舵手と掛け合わせ帰路についた

僕はもう船には乗りたくないと思いながら

もっと大きい船を作ろうかと考えていた

やっぱり鍛治職人が少ないからドワーフを保護しに行こう



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る