第5話 閉幕 国王家族視点

部屋に戻ると国王から二人に告げた

「アイチくんをキョウトーカの婿にしたい」

「私も反対ではありません」

と王妃は言った

「私も特に・・・」

恥ずかしいのか顔を赤くして俯くキョウトーカ

そんな娘を見て微笑む国王夫妻

「まぁ、ピンチの時に助けられたら惚れちゃうわよね」

王妃は誰も聞こえないくらいの声で囁いた

ぼくには聞こえているんですけど

「お母さんも、あのままならどうなっていたかわからないもの私たちにとっても恩人よ」

キョウトーカは俯きながら言った

「そうだな、私たちの命ならば全員になるかも知れないがキョウトーカに関しては彼一人だからな。攫われたままならどうなっていただろうか」

「・・・最悪の決断を迫られていた」

「それはどういう事なの、パパ」

と不安顔で聞くキョウトーカ

「王家として、誰かに囚われると言う事がどの様なことかわかるか?」

「うーん、人質なる?」

「そうだな、ただ人質としてなら交渉もできる。しかし先程の様な場合はどうだろう」

「皆ごろし?」

と首を傾げながら答える

「男を全員殺した後女性を奴隷に売り飛ばすとかかな」

「奴隷なんて嫌」

と叫ぶキョウトーカ

「そしてまだ子どもがキョウトーカしか居ないのに全員が死ねば国は滅びる。

厳密には違う誰かが国を治めることになるが誰が国王になるかで争いが起きる」

「となると?」

「最悪の場合、キョウトーカの命を見殺しにして盗賊の全滅を計る事になる」

顔はしかめ面になり、悲しい顔をしていた

キョウトーカは要らないから見捨てられるわけではない事だけは分かった

そして自分が今回無断でやったことの意味を知ったのである

「御免なさい、お父さま・お母さま

私がいけない子でした。勝手についていったばかりに皆さんを危険な目に合わせました

ウッウッ」

と泣きじゃくるキョウトーカ

「わかれば良いわかれば、何事も無かったのだからただ彼には感謝しなければな」

「はい」

次の日

僕たち家族が国王のいる部屋に呼ばれた

今回の訪問の本当の意味を説明された

僕とキョウトーカを引き合わせ、お互い悪い印象で無ければ婚約者にするか否かを判断する来訪だったこと

次は僕を王都へ呼んで交流を深めて最終的にどうするか決めるための第一回目の訪問だったと話された

キョウトーカも初耳だった様で目をパチパチさせながら頬は少し赤らみ下を向いてしまった

「でだ、キョウトーカの婚約者になってくれないか?」

と国王から言われた

僕は周りの空気が読める人間だ。当然ここは


「お断りします」

完璧だ王女と婚約なんて恐れ多い

我ながら素晴らしい

周りを見てみると驚愕した顔をしている

キョウトーカは私の何処が不満なのよと言ってきた。

はぁ〜とため息をついた

「すみません、断るのが筋だと思いましたので」

「なら、受けてくれるのか?」

国王は髭を触りながら聞いてきた

私は周りを見れる、自己犠牲もちゃんとできる。自分さえ我慢すれば、正しき正解は

「婚約者になれません」

二度目の拒否

「「何故だ」」

と全員からのツッコミ、素晴らしい

いや、違うそんな事ではないのだ

「ハッキリ言ってよろしいでしょうか?」

「良い」

「まだ私たちは小さな子どもです。

トーカもまだこれから色々な出会いをし、本当に大切な方が出来るかも知れません。

しかし婚約者と言う枷があるとトーカの思いを踏み躙る事になります。

トーカは盗賊に助けられた時の恐怖と安心感のドキドキを勘違いしているだけです

もし、私がトーカと結婚したら私は国政をしなくてはなりません

メイドに世話されて自由に生きたいのです

弟が生まれれば領主も譲りましょう

私が王女と婚約したらこれから先私自身も自由がありません

だから無理です」

皆が唖然としている中、一人だけ笑っていた

「そう、メイドの私に世話されたいのね」

誰にも聞こえない声で呟いた

「今度会った時覚えておきなさい。今度は貴方から私が欲しいと言わせるんだから」

と人差し指を僕に指してドヤ顔で叫んできた

それはそれでまた、皆が固まった

「お父さま、お母さま用事は済んだのでしょう王都に帰りましょう。わたしには成さねばならぬ事ができましたわ」

国王一家は王都へ帰城する事になった

その馬車の中キョウトーカは二人に

「もし、私以外に子どもが生まれたら王族から身を引いてもよろしいでしょうか?」

「なに?キョウトーカまさかそこまで?」

国王は頭を抱えて王妃は笑みを浮かべた

「キョウトーカはあの時に亡くなりました。

今の私はトウカとしてアイチ様のメイドとして生きる事にしましたわ。

王都に戻ったらメイドの勉強します。

お父さま、お母さまについては早急に世継ぎを作ってくださいませ」

「いやいや、5歳の発言ではないだろう?

もし生まれなかったら?」

「その時はアイチ様を国王にする努力をして下さい。

私がアイチ様に何もしなくて良い様に今から勉強しますから」

と笑顔で話した

国王と王妃はお互い目を合わせて頷いた


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