恐怖と嘘
私は頭が真っ白になって考えたらこれまでの自分がしてきた事について嫌になったため一希から逃げた。本当は逃げる事はよくない事を知っていた。…何で時間を忘れていたのだろうか。本当の私は今の私だ。だからさっき言ったことも本当の事である。それを吐くのが怖かった。あの昔の関係が崩れてしまうのがなによりも。だから真実を隠しながら二日だけの夢を見た。これで吹っ切れようと思っていたのだが…どうにも吹っ切れない。むしろ一希に対する気持ちは強くなるばかりで弱くなる事を知らない。考え事をしていた。いつも冷たい態度を取っていた私に対して一希は私を嫌いだろう。当然だ私はある日を境に急に氷河期の冷たさで接していた。だからあんな事を言ったのだろう。もう終わった事だと自分に何度も言い聞かせているが諦めがつかない。
浴衣を見た。…そうだよね真実を言うためにこの柄にしたんだ。やっとどうするか決意した。
「あの。朱芳理忘れ物だ。」
「ありがとう。…ねえ一希聞いて。」
私は一呼吸置いて正直に話す準備をした。手は震えて呼吸も荒くなる。何度も迷いに迷ったが今日言わないとずっと引き伸ばしてしまうから言うしかなかった。
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