行く途中

楽しい時立ち止まる事を知らずに僕の願いどうりにはならない。朱芳理とはこれで最後と割り切るはずなのだがなんらかの間違いが起こる事を願ってしまった。そんな事をしても意味のないのに。

「時間だよ。行こうよ。」

その声を聞いて夢は終わりに近づいている事を突きつけられた。

「そうだな。」

僕たちは家を出て徒歩で目的地に行く。下駄の独特の響きが心地よい。

「ねえ。その来年も一緒に来ようね。」

「まだ始まっちゃいないのにもう来年のことか。そうだな約束。」

この時僕はまた平気で嘘を吐いた。そんな未来僕にはあるわけがない。しかしこの朱芳理の無邪気な笑顔を曇らせたく無かったのである。

「ねえ手繋ごうよ。」

僕は気持ちを変えて朱芳理の意思とは全く違う。普段の朱芳理は僕を嫌っている。…だから僕は資格がない。

「…恥ずかしいから。」

とりあえず誤魔化した。

「そんな事を言わないで。あったかいじゃん。一希。本当に嫌だったら抵抗したら。」

朱芳理はそう言って緩く手を握っている。僕はこのまま良いのだろうか。…良いや今の朱芳理が喜んでいる顔だったからそのままにする事にした。

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