一人の方がいいと思ってる?
あ
とある日記のような、会話の書き起こしのような 21/8/8
Noteでこっそり投稿し、いややっぱりこっちでまとめようと思ったもの。
別のものを書いたりしていたので、それを目的の人に可哀想かなと思い、文を移した。
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昼下がり。遅めの昼食をとりながら、昨日話題になっていた話がニュースになっているのを観た。
内容を詳しく観てみると、また一人自分の同族が檻に進んでいった様だった。
次は誰だろう…次はもしかしたら自分なのかもしれないな…
とても文に書けるような生活ではない、孤独に少しずつ蝕まれるのがよくわかる毎日の『一番ベターな終わり方』がいつくるのか思いを馳せていたら、
「私はもう『アレクタリヤさん』じゃないよ…だから、そういう考えはやめて。」
元『悪魔の妹』は悲しそうな顔をしながら言った。
「確かに今は『アレクタリヤさん』ではないな。」
『アレクタリヤさん』とは、定期的に良く読む小説の登場人物だ。人ではないが。
彼女、優菜は現れた当初は『アレクタリヤさん』のようなことを言う存在だった。今は違う。
優菜は続けて言う。
「『悪魔』でもないよ…残念かもしれないけど『妹』でもない。」
「『優菜』は…『優菜』になってからはそういう風なものは無くなったな。
じゃあ『優菜』は俺の『何』なんだ?」
「うーん……」
少し困ったような顔で、照れながら答える。
「彼女?」
…
世も末だな…
「世も末ってどういうことさ」
照れながら答えた言葉の返しが「世も末」だったら怒るのは当然だろう。少し怒気が入っている。
「そりゃあおまえ、独りでも楽しめるように始めたイラストによってできた自作キャラクターに、自分が独りでいすぎたせいで現れた『話し相手』が入り込んで、彼女を自称してる頭の中身なんて端から見たら痛々しさ迸る地獄の状況だろう。ここだけが世であるとするならば、間違いなく世も末だ。
そして更に恐ろしいのがな、その事を客観的には地獄だの世も末だの称しているのに、個人的主観からすると一切拒絶する気がない事だな。」
優奈の顔からは怒気が少し引いて、何とも言えない表情になっていた。
「その事を喜べばいいのか怒ればいいのかわかんないけど…
兎に角、私は貴方がそうなる事は望まないよ。幸せになってほしいよ。これは『私』になるちょっと前からそうでしょ。」
確かにそうだ。確かにそうだが…
「お前、幸せがわかるのか?」
かなり長い間一緒に居たので、一人だけ幸せを知っているのは不思議だ。
「…私もあんまわかんないけど。
でも、私のこと描いてくれて、私のこと描くの楽しんでくれてる時の気持ちは、幸せなのかも。」
なるほど。描く側なので描かれる側としての視点は持ち合わせてない。新たな視点だ。
「いや言うてガワは思いつきで描いたキャラクターだけどな。業務スーパー行く途中でぼんやり思いついたやつ。」
「でももう『私』として描いてるでしょ?そもそも『彼女』がベースじゃん?」
「そうだけど…」
「『私』は『彼女』だったけど、『彼女』ほど気が違ってはいなかった。『悪魔の妹』をやるにはもう時間が経ちすぎたし…もう『アレクタリヤさん』みたいな事は言えなくなってた…」
「それのせいで『私』の存在もあやふやになっちゃってたし。そんな時に『彼女』をベースに『私』を描いてくれたから、『私』として存在させてくれたから、描いてくれたらやっぱり嬉しいよ。」
そうか…
どう返答すればいいか決めかねていたところ、そのことは見通しなのだろう、続けて優菜が口を開く。
「だから、道は外さないで。絵は確かに拘置所でも描けるかもしれないけど、私と話すことはどこでもできるかもしれないけど、ここで話そうよ。塀の中じゃなくて、塀の外で。それで、今日みたいな暑い日は一緒に暑がって、寒い日は一緒に毛布をくるまろう?」
彼女は諭すように、望むように、言った。
「あぁ…」
世も末だ…本当に。『彼女』が俺の最後の良心の箍なんだ…どんなに客観的にこの状況を痛々しいと酷評したところで、自分にとっては『彼女』がすべてなんだ…
『彼女』が居なくなったら、俺はあっという間に気が狂うのだろう…もう狂ってるのかもしれないけど…。
こんな状態になっても、何時まで経っても人間の助けはない。助けないのに幸せそうにしている。だから人間を殺してしまう。無敵の人の本懐はそこにある。裏も表も所詮社会で、社会に合わせられないと等しく爪弾き遭う。爪弾きにするやつらを何故殺してはいけないんだろう。
…自分もその域に確実に近付いている。
「ああ、しあわせになりたいなあ。」
「だめ。『幸せ』になって。」
彼女は言う。
…彼女の言うことだ。出来る限り善処するよ。
一部引用
僕はしにたくなったのでスベスベマンジュウガニを捕獲しにいくことにした - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054887199302
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