ワタシジャナイ
あら、ちょうどええところにおった。これ、昨日帰ってきた娘の修学旅行のお土産。そう、そう、月の。高校の修学旅行で月に行くなんて昔なら考えられへんだやろ。
別にそう危ないことも無いみたいよ今は。ただ一個だけ、人間にそっくりのロボットが給仕するカフェに行くんや言うて、そこ行くと誰でも良う似たロボットがおるんや言うて、学校はあかん言うとるのに聞かへんもんやからそれだけ心配しとったん。そっくりのロボットって言うのと一緒に写真撮ってきてな。ほんまにそっくりで笑ろたわ。ようできとる。
そのな、ロボット、なんとこの辺で開発されたもんなんやて。意外やろ。大阪で宇宙開発。昔々、まだAIやAIやと騒いどった時代に「人間そっくりの人工知能搭載ロボットを宇宙に飛ばして、ちゃんと連れて帰ってくる」っていう実験をお父さんの会社でしとったんや。けど、それが成功した直後に「ロボットに人間の真似をさせてはならない」言う法案が成立してしもてな、当時月で実験中やった人間そっくりのロボット達は地球に帰れへんようになってしもたん。連れて帰ってきたら廃棄処分やからね。もう月で好きにしてやって。放置してきて、そんでできたのがロボットだけの街。
あのそっくりのロボット、お父さんが娘に似せた奴違うかなあと思たらなんかじわっと来てね。
え、娘? 平気平気。ロボットの街のほうがかえって治安も良かった言うてるわ。
ただ、ほら、うちも昔の人間やろ。ネット通販とか苦手でな、そんでいつも娘に頼んでるん。けど、旅行から帰ってきてから我慢しとった分頼んだらなかなかやってくれへん。なんでや言うたら「私はロボットではありません」っていう認証画像だけが何としても読めへんのや言うて、そんなわけあるかいって、叱ったらなんかずっとぶつぶつぶつぶつ言うてるの。
「うち、ロボットっちゃう。うち、ロボットちゃう。うちロボットちゃう。うちロボットちゃう、うち
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